クロノの触手と暴喰
ロキフェルは自分自身で出す開始の合図と同時に魔法弾を両手で交互に放ってきた
「取り敢えず、レベル1~!!この複数の魔法弾をかわせるかなぁ~?」
そう笑って言いながら魔法弾を途切れることなく放ってくる
「避ける術など、必要無し…」
そう言いながら【暴喰ノ口】を発動させた
黒い球体が割れ、無数の触手が魔法弾に絡みつき吸収される
「い゛?!!」
ロキフェルに取って予想外の対処法だったらしく驚いている
その間も彼自身は魔法弾を放つ事を止めてはいないが、その都度吸収されていた
「クロノ!!なんだよそのスキル!!反則じゃないか!!」
「【魔王】固有スキル…其も使用すれば、良い…」
「いやいや!!そんなスキル持ってないからね?!【魔王】全員が同じスキルを持っている訳じゃないから!!」
その言葉を聞いて今度は僕が驚いた
そうか…固有スキルと書いていたから【魔王】全員が同じスキルを持っている訳では無いのか
考えてみれば、聞いた事しかないけど【勇者】たちの得意技や必殺技も皆バラバラだった
あれは得意不得意では無くて覚えている覚えていないというのが関係していたのかもしれない
「このままじゃジリ貧だなぁ…クロノ!!僕も固有スキル使わせてもらうよ!!一気にレベル8だ~!!」
そう告げるや否や魔法弾を放つのを止めて地上に降り立ってくる
それと同時にロキフェルの翼が急に巨大化し出した
「僕は遠距離型なんだ!!次の攻撃の威力はさっきの比じゃないよ!!」
そう騒ぐと同時に翼が変形して各々が魔族の姿に変形した
「僕の翼が4枚!!それと同じ数の悪魔が顕現出来るんだ!!しかも1体1体が僕と同じ位強いんだぜ!!お前たちいけーー!」
ロキフェルが言うと同時に4体の悪魔がこちらに突撃してきた
「【暴喰ノ口】…」
黒い球体から触手が飛び出て彼らに襲い掛かる
「はははは!!そんな貧弱な触手が【魔王】と同じ強さの悪魔に敵う訳無いじゃないか?!」
ロキフェルはそういって笑い出す
確かに彼の言う通り触手は悪魔に巻き付けない様で多少の足止めしか出来ていない
ここら辺が対複数用のスキルの辛い所だな…
そんな事を考えていると悪魔2体が僕のすぐ近くまで来ており剣と鎗で攻撃してきた
「……」
獣人精鋭7人の連携にも後れをとらなかった僕からすれば、その攻撃自体を避ける事は容易だ
だけど決め手に欠けているのも事実だった
「上手に避けるね~!!残り約1分をそれでやり過ごす気かい?!それじゃぁ面白くないから同盟しないかもよ?!」
ロキフェルと言えば、そんな軽口を叩いてくる
このままやり過ごす事も考えたが、同盟が破棄になる可能性は避けたい
真偽は兎も角、相手に見下されたまま同盟締結するのは避けたい事案でもあった
僕は避けながら両手に魔力を込める
「良いね良いね!!次はどんな手を面白くしてくれるのかな?!そろそろ残り2体もやって来るよ!!」
ロキフェルの言った通り、残り2体もこちらに対し攻撃を仕掛けようとしてくる
「【暴食ノ口】…」
そう言いながら両手に魔力を注ぎ込み黒い球体を手の中心部に顕現させる
「またそれ~?触手の数を多少増やしたって、こいつ等を喰う事なんて出来ないよ?」
面白くないという表情でこちらを眺めている
ただ僕は焦らない
確かに【暴喰ノ口】で触手の数を増やしても、悪魔を喰う事は出来ないだろう
だけど、拳の前に発動させ直接喰わせればどうだろう
「グガッ!!」
「ヴッ!!」
直接、【暴喰ノ口】に喰わせると悪魔2体は吸収された
「ちょ、ちょっと!!!」
このスキルにとって触手は飽くまで付属品だ
スキル名の通り、球体部分がメインとなっている
触手部分に注いでいた魔力を全て本体に注げば【魔王】クラスでも吸収する事が出来る事が判明したのは大きな成果だった
「其等も…喰われよ…」
そう呟き、残り2体の悪魔に近づき拳で殴りつける様に吸収する
あわあわと動揺するロキフェルの前に僕は立った
「3分…経過したと、思考しているが?」
僕がそう問いただすと一瞬呆けた顔をするし、
「う、うんうん!!ちょうど3分経過したね!!!終~了~!!!」
ロキフェルは調子を取り戻したのか、満面の笑顔で高らかに終了を宣言したのだった
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