クロノと暴喰の飽喰
「良いかい、【暴喰神】?喰らうのに何も得ない・・・そんな事は有り得ないんだよ。」
「妾に・・・妾に対して【暴喰】を語るんかえ・・・?」
「あぁ、勿論語るとも。【暴喰】の【神】で有りながら喰らう事の本質を理解していないんだからね。」
「蟲いいいいぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーー!!!!」
どうやら僕の挑発は思いのほかに効果的であったみたいだ
【暴喰神】は僕に目掛けて巨大な触手で襲い掛かって来る
けれど・・・
「喰らうとは得る事・・・相手の全てを自分の糧にする事だよ。」
【暴喰王ノ口】を新たに3体顕現させ、【暴喰神】の触手に再度襲い掛からせる
先程の光景と何一つ変わらない様な光景を尻目に出来の悪い生徒をあやす様に語り掛ける
「僕ら下界のモノはね、何かを喰べて生活している。そしてその喰ったモノから得られるモノで腹を満たし、活力を得て、成長していくんだ。」
「妾は【神】えっ!!成長なんてモノは存在しないえっ!!!」
「かもね・・・だが、だからこそ君は【暴喰】を見誤った。」
「・・・・・・何?」
【暴喰神】の疑問に応えるかの様に、僕は右手に魔力を込める
「僕も最初は【暴喰ノ口】は何でも喰らう、便利なスキルだと思っていた・・・それだけでも充分に破格なスキルだからね。」
・・・流石、魔力の消費が激しい
こんなモノを容易に顕現させる【神】とはやはり存在が異質なのだろう
もし今目の前で間抜けな面で僕を見る【神】は成長途上なんだとすれば・・・未来永劫僕は勝てない
「でもある日、ふと思ったんだ。何でも喰らう事が出来る・・・それが本当に【大罪スキル】に数えられる程強力なのかな?ってね。」
【傲慢】、【強欲】、【憤怒】・・・僕が戦った【大罪スキル】は全て己の血肉にする事が出来ていた
【傲慢】は自分の能力を3倍に、【強欲】は相手に質問をしてその能力を奪って自分のモノに、【憤怒】は怒れば怒る程に自分の能力を底上げさせていく
まぁ、【怠惰】は出来なかったけれど、あれは使い手本人の問題だろう
対して【暴喰】は?
相手を喰らい、魔法を喰らい、攻撃を喰らう・・・
だが喰らう事しか出来ずに血肉させる事が出来ない
・・・本当に?
「そう疑問に感じた僕は、【暴喰】という【大罪スキル】の可能性を模索したんだ。」
「・・・・・・」
どうやら【神】からすれば自分が司る【暴喰】という存在が気になる様だ
その考え方は理解も出来るし共感も出来る
「その模索の結果・・・得る事が出来たのが・・・これだよっっ!!!!!!!!!」
「srjp:eaopjerapoucejagjeaja]@-jg@]goqjegjq erpj!!!!!!!!!!」
だが僕が彼女の立場ならば僕のいう事に耳なんて貸さないけどねっっ!!!
そう思った瞬間、僕の右手から放出される魔力によって・・・一本の巨大な触手が顕現される
「なっっ!!!!!」
「幸い僕はこれまで・・・喰ったモノを何一つ栄養にする事はしなかった。それ故に今まで喰い溜めしていた栄養をすべて僕自身に与えたなら・・・これ位は造作もないってこそさ。」
若干肩で息をしながらもそう言って虚勢を張る
喰って喰って喰って喰って喰って・・・そしてそれらの全てを今、栄養素として僕に与えた結果・・・僕はスキル自体も喰わせる事が出来る程の能力を手に入れた
「・・・小癪な真似を。」
「残念だけど小癪な真似はこれだけじゃないんだよ。」
そう返答して【嫉妬タル心ノ臓】を使用して、フロウへ変化する
「・・・・・・?なんえ?弱くなって何がしたいんえ?」
「・・・・・・失礼。」
そして僕は・・・【嫉妬タル心ノ臓】を再度使用し・・・あの人へ変化した。