神の苛立ちと生い立ち
天に届こうかともする高さの下僕どもが周りを取り囲む
これだけ囲まれてしまえば文字通り何人も抜け出す事は出来ない事は容易に想像出来るやろうなぁ
あとは・・・妾が指示だしたらただただ喰うていくのみ、それで御終いや
【廻帰月喰】
妾の持つスキルの中で1番威力の高いスキル・・・ではない
妾の持つスキルの中で1番応用力の高いスキル・・・でもない
妾の持つスキルの中で1番魔力消費が低いスキル・・・では当然ない
素早く発動する訳でも無い
有効範囲が広い訳でも無い etc・・・
せやけど、そんな出来損ないの様なスキルやけれども、たった1こだけ他には負けへん部分がある
それが『喰らう事』
運命も輪廻も月も命も細胞も痕跡も記憶も・・・神かて喰らう事が出来る
文字通り、【廻帰月喰】に喰えないモノ等なに1つ存在せぇへん
目の前の小僧もそれを分かってか怯え、絶望した目で妾を見上げとる
「解っとるんか・・・?己が立ちはだかっとるスキルは其処まで暴力的なんや」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「解っとるんか?己がその小僧を庇ったかて何1つ意味を為さへんえ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「解っとるんか?己と我の繋がりそのものを【廻帰月喰】に喰らわせる事かて何1つ問題なく成し遂げる事が出来るんやでっっ?!!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「解っとるんかっっ?!!!己が喧嘩売ろうとしている妾はそんじょそこらの【神】とちゃうっ?!!
それを理解して尚、己は妾の前に立ちはだかろうと言うんかっっ?!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「答えてみぃっっ!!!己は妾に楯突くんか・・・クロノ=エンドロールッッ!!!!!」
そんな状況下にも拘わらず、妾の前に立ちはだかる宿主に対して激高しながら叫ぶ
今更ながら妾と小僧の前に立ちはだかり、一体何をしやるつもりや・・・
そもそもにして己には力を貸したっただけで、己の軍門に下った訳やない
己と妾は格云々やない、文字通り存在そのものが隔絶しとる様なもんや
「・・・楯突いているつもりはないよ、【暴喰神】。」
「っっ!!!己・・・」
にも拘わらず、震え1つ起こさずに妾の前に立ちはだかる所か【神】である妾に対して平然と反発してきよる・・・
この不快な感情のまま小僧諸共喰い散らかしたろかと思案してしまう
せやけど・・・それは【神】として少々品が無いと思い直す
「ほなら妾を喚んだ己が、妾の前に立ちはだかっとるんはどうゆう事や?」
目の前の蟲は平然としとるけど、本来は妾の声を聞くだけで発狂してもおかしない
それを尚も平然としとるこの蟲が異常なだけや・・・
「【暴喰神】、僕の要求はたった1つだけだよ。」
「っっ!!・・・・・・ほぅ。」
然し・・・小僧と言い、蟲と言い・・・言葉遣いの1つも碌に出来ひんもんばっかりかいな
精神力は大したもんやと言えるけども、コレばっかりは思わず苛立ってしまう
「さっき君が言った言葉を一部訂正して貰いたいんだ。」
「・・・どの言葉か知らんけど、それは啓示を反故せぇ言うてるんやんなぁ?当然却下え。」
当然や
小僧に言われても反故せぇへんのに、蟲に鳴かれて反故にする訳が無い
そこに何一つ意義を見出す事は無い
「いいや、君には必ず反故にしてもらうよ。」
「・・・それは妾と敵対する言うとるんと同じやでぇ?己が下界のモンやとしても蟲1人消滅したかて妾の存在が無くなる事はないからなぁ。」
そう言うて眼前の蟲を睨みつける
当然や
小僧に対して手も足もでぇへんかった蟲が妾に対して少々跳ね返りすぎとる
「敵対するつもりはないよ。でも・・・僕の要求が通らないとなるのならばそれも藪坂ではないかな。」
「よぉ言うたっ!!!小蟲の戯言にも我慢の限界やっっ!!!一瞬で消え晒せっっ!!!」
妾はそう叫んで下僕に攻撃の指示を出した