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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
ⅩⅧ章【ボクトアナタトワタシトキミト】
606/640

クロノの葛藤と渇望


(ハハッ・・・やっぱり剣だけじゃ勝てない、か。)


好き放題に斬り刻まれた感想がコレじゃあな・・・等と内心で自分に対して愚痴る

昔の様に楽しく斬り結ぶ事は出来た

出来た結果、やはり剣に特化した最上級称号【剣神】には剣では勝てないと理解させられた


(剣術で勝てれば良かったけれど・・・まぁそこまで上手くはいかないか。)


「さよならクロノ・・・【業火剣乱】」


僕の思考を遮るかの様に彼女の無情な宣告が耳に入って来る

此処で徹底的に僕を殺しにかかるつもりだろう

が・・・


「【暴喰ノ口】・・・」


身に刻まれるダメージは()()()()()する

それにより魔力を練りこみ【暴喰ノ口】を発動させた


「なっ?!!」


どうやら彼女は驚いている様だが、スキルの特性を考えれば当然の事だ

【業火剣乱】は・・・縦横無尽に超スピードで炎を纏った剣で相手の全身を刻む()()()()


だったら【暴喰ノ口】で触手を顕現させて喰らわせてしまえば良い


(けど【暴喰ノ口】は1人につき1本しか攻撃しない・・・)


だからこそ僕は自分の思考を()()()()()()()()


一撃ごとの炎に1本・・・これで数十の触手が炎を喰らう為に動き出す

あの大剣に1本・・・超スピードで動く剣により同じく数十の触手が動き出す

そして・・・アカノ=エンドロールに1本

同じく超スピードで動く彼女を数十の触手が一斉に襲い掛かる


「そうすれば・・・ね?」


どうやら彼女は基より、大剣も強力な炎を纏っているが故に【暴喰ノ口】の触手では本体まで連れていく事が出来ないらしい

僕の目の前には触手に全身を捕縛された彼女が映っていた


「クロノ・・・貴様っっ!!!」


彼女は触手に捕縛され、けれども断ち切る事も出来ない様で硬直した状態で憤った表情を浮かべる


「・・・剣術は君の勝ちだ。【剣神】相手に満身創痍の僕が勝てる訳がないのに・・・ハハッ、僕は少し驕っていたかもしれないね。」


「・・・・・・」


「でも勝負は僕の勝ちだ。剣術だけに気を取られて僕が別の手札を切る可能性を考慮しなかったのが落ち度だよ。」


「・・・・・・」


とは言うものの、実の所は僕もフラフラだ

覚束ない足取りで剣を抱えたまま、捕縛されている彼女の元へ向かう


捕縛され、宙に舞う彼女を見上げる

だが彼女は俯いたまま、何を考えているのか分からない


(これから彼女を本当に殺すんだ・・・)


そう思うと・・・今までの思い出が思い出されてしまい

決意が鈍りそうになる


「何か最後に言い残すことはあるかい?」


そんな自分の未練を断ち切る為に問いかけた


「・・・・・・クロノ、私が・・・お前を殺し・・・その上で私が死ぬ事となっても・・・お前は私を許してくれるか?」


「・・・そうだね、僕が君を許す条件は君が僕を殺す事という1点のみだ。後はどうしようが好きにすればいいよ。」


思いがけぬ彼女の問いに、僕は咄嗟にそう答えた



ーーーゾクリーーー



だが・・・咄嗟にそう答えた瞬間、背筋に震えが走る

そしてそれと同時に『間違えた』という確信が脳裏を巡る


「そうか・・・私は【剣神】になってから少し経過した時に・・・あるスキルを手に入れたんだ。」


「・・・・・・」


「【神】を冠する称号でな・・・文字を見ただけで余りにも禍々しい事が理解できるスキルだ。だからこそ一度も使用した事はないし、誰にも言う事はなかった。」


「・・・・・・」


「たぶん私が・・・このスキルを使用すればクロノは死ぬ。そして・・・私も死ぬだろう・・・名を見ただけで理解できる様なスキルだ。でも・・・私はそれを今使うよ。」


「・・・止めろ。」


「クロノに許されたい・・・それが今の私の願いなんだ。出来ればあの頃の様に・・・でもそれが無理ならば・・・私はお前に許されたい。」


「止めるんだっっ!!」


「・・・さっきクロノは私の命と世界は天秤にのらないと言ったな。それは全くその通りだ・・・だが私にとっては世界とクロノの命は天秤にのるんだ。そして・・・クロノの方が重いんだよ。」


そう言った彼女から・・・今まで感じた事のない魔力を感じ出した

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