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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
ⅩⅧ章【ボクトアナタトワタシトキミト】
604/640

クロノの牽制と剣戟


(まさか・・・一本とられるとは、ね。)


さっきの動きと対処は確実に僕の動きが見えている

それだけであれば回避されてお終いとなるが・・・彼女は力技で僕の魔力を消費させてきた


如何に元の実力は僕の方が強いと言っても、今の僕は満身創痍だ

そんな僕があれだけの技を被弾してしまえば無事である可能性は薄い


(だからこその【暴喰ノ口】だった訳だけど・・・彼女は恐らくそれを狙っていたのだろうな。)


攻撃が当たらなかったのに悔しがる素振りもなかったのが僕の答えが正しい事を証明している


(体感的に・・・【暴喰ノ口】は後1、2回、【暴喰王ノ口】だと・・・1回がほぼ成功すると言った所かな?)


僕の魔力は彼女よりも圧倒的に多いが、消費する魔力も圧倒的に多い

そういう意味では魔力量は彼女に分があると思っても良いだろう

そして物理面では僕の方が有利・・・だった


(あの時の戦いと同様に・・・集中しだしたという事かな?)


もしそうだとしたら、物理面でも彼女に分があるだろう

詰まりは魔法、物理共に彼女の方に天秤が傾いている状態という訳だ


相手の方が強い状況・・・その天秤をコチラに傾ける方法は2つしかない

相手を削るか、僕が増えるか


残念ながら今以上に僕が増える方法はあるには、ある

それに彼女を削る方法だってあるには、ある


(でも・・・僕はその手段を使いたくないなぁ・・・)


増やす方法は簡単だ

フロウを殺したことで手に入れた【嫉妬タル心ノ臓】でフロウに成ればいい

傷は癒されるし、確実に今の僕よりは強いだろう


削る方も簡単だ

僕からは殆ど攻撃等は行わずに回避し、彼女の魔力を減少させ、ついでに疲労感を与えればいい

僕と同じ土俵に上がってもらえれば後は容易に勝てる気がする


(何だったら、彼女の心を折っても良いしね。でも、なぁ・・・)


正直、どうも気が乗らない

理由は非常に単純だ

それで彼女に勝ったと言えるのか?という事だ


折角彼女と真剣勝負で戦える機会を得たのに、そんな搦め手で勝利を掴んだと言えるのだろうか?

僕が彼女に並び立ちたい、勝ちたいという感情はそれで満足するのか?

そう考えた時、僕はせでは決して満足しないという事を理解している


極論、僕は彼女に勝てなくても良いとさえ思っている

それよりも彼女と真剣に戦う事の方が僕の中では余程重要だ


「・・・は、ハハッ。」


だったら真剣に戦うしか手段はない

そう自覚した時に思わず口から笑みが零れる


正々堂々、搦め手等を使わずに真正面から斬り伏せる

それこそが僕の目指す勝利だ


剣を大きく振り、仕切り直しとばかりに彼女へ視線を向ける


「・・・【魔神】クロノ=エンドロールだ。」


「・・・・・・」


僕がそう告げると、彼女は眼を見開く

多分・・・僕と同じく、昔のあの光景を思い出しているのだろう

【称号】等を持たずに騎士の様に名乗りを入れながらチャンバラをしていた、あの頃を・・・

そんな憧憬に浸っていると彼女も構えを解き、正道の構えに構えなおす


「【剣神】・・・【狂炎ノ道化】・・・アカノ=エンドロール、参る。」


そう言い切った彼女の言葉は力強くて勇ましい、僕の知る彼女のままだった

瞬間、彼女は僕の間合いに一気に詰め寄る


「っ!!!!」




ーーーーーガギィィィーーーンーーーーー




間一髪という所で彼女の攻撃を受け止める

そしてそのまま剣圧を押し返して僕も攻撃へ転じた


当然と言うべきだろうか?

【明鏡止水】を発動した彼女に僕の大振りの攻撃が当たる訳も無く、容易に回避される


「・・・・・・」


「・・・・・・「ハッ」」


どちらともなく、思わず声が口から漏れ出る


「「ハッハッハッハッハッ!!!!」」


彼女の事は決して許せない

それは僕の中では何度反芻させても変わらない事実だ


けれど・・・今この時はそんな事さえ忘れ思わず笑いがこみ上げてくる

それはもしかすると遥か昔に忘れた本当の意味での『楽しい』という感情かもしれない等と柄にもなく考えてしまった

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