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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
ⅩⅧ章【ボクトアナタトワタシトキミト】
603/640

アカノの作戦と覚醒


(・・・強い。)


出てきた感想はただその一言だけだった

私は人族領の中でも最強と言われる【勇者】すら圧倒できる実力を持っている

そんな私が・・・満身創痍であるクロノに一太刀も浴びせる事が出来ず、喉元に刃を突き付けられているのだ


クロノだから・・・その先入観が如何に致命的であるかを嫌でも理解してしまった


(このままだとクロノを倒す事はおろか、掠り傷すらつける事が出来ないかもしれない・・・)


その末に待っているのは、許されず侮蔑な視線と落胆した表情を私に向けるクロノ・・・


(嫌・・・嫌だ嫌だ嫌だっっ!!!)


今の私の十全の力でクロノに挑まなければならない

相手が満身創痍だとかクロノだとかは今現在、全く関係が無い


(クロノを敵だと思え・・・目の前の敵に勝たなければ・・・)


普通であれば集中する事を意識すればする程、集中出来ている状態から遠のいてしまう

だが今の私は死の淵に立っているからなのか、それともクロノを失望させたくない一心からなのか容易に集中出来、あるスキルが発動できる様になった


(【明鏡止水】・・・)


喉元に突き付けられた剣が私をこのまま攻撃してこない事が理解できる

そして・・・当然の様にクロノは剣を私の喉元から遠ざからせ、距離を開けて再度構える


「これが最後だよ・・・もしこれで僕を殺せないのなら、僕はお前を許さない。」


「・・・大丈夫だ。もし次に私が負けた時は・・・油断も無く、言い訳の余地なく負けたと言うだけだ。」


【明鏡止水】の効果だろうか?

心無しかクロノの言葉が若干間延びして聞こえてくる


(私はもう・・・クロノ以外は何も見ない・・・)


周りも気にせず、全てをクロノの挙動に注視する

これで敗北すれば、私に勝利の道筋は無かったという事だ


「そっか・・・じゃあ・・・行くよっ!!」


そう言うと同時にクロノは跳躍し、上空から攻撃を仕掛けて来る


(見えるっ!!!)


【明鏡止水】を発動出来ていなかった私だと見落としていたかもしれないスピード・・・

けれども発動させる事が出来た今、クロノの動きを捉えることが出来る


「ソニックブレイドッッ!!!」


「っっ?!!!」


空中から襲い掛かってくるクロノに対し剣撃を飛ばす

多少面食らった表情を浮かべてはいるが、私のソニックブレイドを容易に断ち斬って尚も襲い掛かって来る


「落下点は・・・此処だっ!!!」


奇襲は何処から攻撃してくるか分からないから脅威なのだ

逆にいつ、何処から攻撃されるのかを理解できていれば脅威ですらない


「【飛炎斬】っっ!!!」


「なっ?!!」


「【飛炎斬】【飛炎斬】【飛炎斬】【飛炎斬】【飛炎斬】【飛炎斬】【飛炎斬】【飛炎斬】っ!!!」


落下点に向けて私の遠距離最大攻撃だった【飛炎斬】を乱発させる

戦術も何もない、ただ力任せに質より量に拘る作戦だ


この戦果により何発かでも被弾してくれていれば最上の戦果と言える


「【暴喰ノ口】っ!!!」


だが・・・私にとっての最上の戦果を挙げる事は叶わなかったらしい

私の放った【飛炎斬】はクロノが発動させた【暴喰ノ口】により喰われていった


・・・【飛炎斬】が喰われていく様を見て、思わず口角が上がる

それは私にとっての次点の戦果とは、残り少ないクロノの魔力を削っていく事だったからだ


「・・・力技だね。」


「・・・私は馬鹿だからな。父さんやお前の様になりたいと思ってはいたものの向いていないらしい。結局、私は私でしかないという事が分かったのだ。」


私は胸を張ってそう告げる

それは悔しくもあるが、私の中では確固たる答えだ・・・

私は私でしかなく、父さんやクロノの真似は出来ない


「・・・そっか。」


「っっ!!」


そして・・・そう言い放った私に対して僅かだが・・・ホンの僅かではあるがクロノが私に向かって微笑んでくれた事を私は見逃さなかった

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