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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
ⅩⅧ章【ボクトアナタトワタシトキミト】
602/640

クロノの荒唐な根源


(吹っ切れたかな・・・?)


アカノ=エンドロールの初撃を回避しながら冷静に分析する

先程の攻撃は素早さ、攻撃力、タイミングのどれをとっても思い切りが良い一撃だった


彼女の強さの根底には思い切りの良さがある

僕みたいに様々なパターンを考慮して対策を講じ搦め手で戦うのではなく

彼女の強さはこうと決めたらこうすると言う様な確固たる信念で戦う所にある


どちらが強い弱いでは無く彼女に向いているのがソレなのだが・・・正直、さっきまでの彼女は本来の持ち味を完全に殺していた様に思える

精神が不安定であったが故なのか、視野の狭い中で数少ないパターンにだけ対策を講じてしまっていた

結果、パターン外の行動に出ると動揺が見られルカの様な印象を受けていた

だがそれも僕が贖罪の条件を簡潔に提示した事により動きに迷いが無くなったかの様に思える


僕が彼女にあの様な条件を提示したのは幾つか理由がある

1つはアカノ=エンドロールが許せなかった事

もう1つはアカノ=エンドロールに少し同情してしまった事

でも結局は・・・


「僕が本気の彼女と戦いたかったからなんだろうなぁ・・・」


そう呟きながら彼女の攻撃を回避する

思えば僕と彼女が共に剣を交える事は成長するにつれ減っていった

幼少期の頃は父さんに指導されていた時も遊んでいた時もお互いに笑顔で剣を交えていた

彼女が【剣聖】の称号を得てからも父さんの指導により剣は交えていた

けれど・・・いつからか彼女は僕に対して手加減をしていたと思う


2人で都市に出向いてからはより顕著となった

片やお荷物()を守りながらも確実に依頼をこなす【剣聖】

片や【無能】と称される称号無しの僕

剣を交えると言うよりは実践でより研鑽された彼女の剣により指導されているという様な状態だった


(そしてあの時・・・)


彼女と僕ではなく、【剣神】と【魔神】としての戦い

そこには一切の容赦が無く、笑顔なんて当然ある筈も無い戦いだった

彼女は彼女で僕を取り戻そうと、僕は僕で仲間を傷つけられた事と彼女と敵対した事で心の中がグチャグチャだった

けれど僕も彼女も間違いなく真剣だった


(あの時はそんな余裕はなかったけれど、僕は彼女と対等に戦いたかったんだろうな・・・)


彼女に庇護される立場ではなく、彼女の隣に立ちたかった

誰かに守られる立場ではなくて、誰かを守りたかった

周りに卑下される立場じゃなく、周りに畏怖されたかった


そんな僕の醜い願いの根源はきっと・・・彼女だったのだろう


「ハハッ、何処までも自分本位で・・・嫌になるな。」


そして今度は自分本位な願いの為に贖罪を盾に彼女に対して死闘を強要している

本当に僕は最低だ・・・


懸想している間にも彼女は苛烈に襲い掛かって来る

けれども満身創痍とは言え、腐っても僕は【真祖】を組み込んだ【魔神】だ

その全てに反応し回避する事くらいは容易だ

そして・・・


「どうしたの、アカノ=エンドロール・・・まさかそれで終わりだなんて言わないよね?」


彼女の喉元近くに剣を差し示す事くらいは慣れれば容易にこなせる


「・・・無論だ、私はお前から許されるまでは諦めない。」


彼女は明らかに先取されたにも拘わらず諦める素振りがない

その言動を見て、僕は僅かに自分の願いの根源が少し叶ったという事に満足した・・・

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