クロノの視角と自覚
会議が終了し自室に戻る
コンコンと控えめなノックが扉から聞こえる
「どうぞ。」
来訪者が誰かは分かっている為にあっさりと返答した
「失礼します…」
そう言いながら入ってきたのはやはりルーシャだった
「何度も呼んでごめんね。それと今日は有難う、本当に助かった。」
事実、彼女が進行してくれて本当に助かった
テキパキと進行して意見をまとめて結論をだしてくれる
僕ではとても出来る気がしない程の手際だった
「いえ…そう言って頂いて恐縮です。」
そう言いながら俯いて真っ赤な顔をしている
褒められ慣れていないのかもしれないな…
「昨日呼んだ事の内容になるんだけどね、事前に知りたかった事を聞きたかったんだ。」
昨日の事を持ち込むのはデリカシーが無かったかもしれないなと言った後に気づいてしまった
案の定、彼女はより一層モジモジとしだす…
「ご、ごめん!!そんなつもりじゃなかったんだ!!」
必死になって弁明するも、より一層顔を真っ赤にするだけだった…
…
……
「それで私に聞きたい事はなんでしょうか?」
暫くして恥ずかしさから抜け出したのか、彼女が聞いてきた
「うん…単刀直入に聞きたいんだけど、獣人兵士の強さは他国兵士と比べてどうなの?」
「どうなのかというと、強いか弱いかという事ですよね?」
それを聞いて僕は頷く
「そうですね…単純な肉弾戦、物理戦であれば負ける事はほぼ無いと断言できます。獣人は己の肉体で戦う事を喜びとしますから…現に【魔王】様不在でもここまで持ちこたえましたから。魔法戦も弱い訳ではありませんがより優秀な魔族はおります。」
そうだよね…持ちこたえてたもんね…となると
「ルーシャ、確認なんだけど…僕は並みの魔族よりも強いのかな?」
そうここに帰結してしまう
驕るつもりは全く無いけど、自分の実力は正確に把握しておく必要がある
でなければ、編成時に過剰な人員をださないといけなかったり、その逆もあり得る
「………」
僕がそう尋ねると、ルーシャの目が今まで見た中で1番丸くなる
「クロノ様が強いかといわれますと…非常----にお強いです!!アナタは物理戦で獣人精鋭7人を瞬殺し、人族数十人を1発の魔法で倒す事が出来る存在ですよ?!強い強くないでは無い、非常に!お強いです!!多分ですが、前【魔王】よりもお強いと私は思っております!!」
まくし立てる様に渙発いれずに告げてきた
…飽くまでルーシャの見解だが、前【魔王】よりも強いのか
(ブロウドさん、やり過ぎです…)
そんな事を考えてゲッソリした気持ちになる僕に対し彼女は嬉しそうだ
「そんなクロノ様が、この国…【クロノス】の魔王になって頂き本当に嬉しいのですよ?それだけお強いのに、国や国民の為に会議に出席し意見交換を行う【魔王】様なんて聞いた事ありません!家臣たちも驚きながらも喜んでおりましたし、堅物のバルデインなんか頷きながら少し涙ぐんでましたからね!」
そっか…バルデイン泣いていたんだ…
今度労っておく様にしよう
「じゃあ、僕がこの城にいれば兵士を村に派遣する事自体は問題無いよね?」
「はい、会議の出席者もその思いで賛成したのだと思います。あと数日もすれば【黒家クロノス】の名は国民だけではなく他国にも広まるでしょう。他国がどの様な行動を起こしてくるかですね。」
「そうだね。ただ、こちらとしても相手の出方を待ち続ける訳にもいかない。僕は僕で魔帝国に向かわなければいけないし…ルーシャ、攻めてきている国の中で同盟を持ちかけるのに1番有効な国はどの国かな?」
そういうと彼女はキョトンとした顔でこちらを見てくる
「1番同盟し易い国ではなく、又有利な国でもなく有効な国ですか?」
僕は頷きながら答える
「うん、今一番欲しいのは抑止力だ。同盟出来ても周りの国から舐められていたり貿易面で輸入に頼り切っている国は抑止力にはなりにくい。」
僕がそう告げると彼女は暫く思案した後に答えてくれる
「1番有効な国ですと圧倒的に【遊戯国トリクトリロ】ですね。ただ…非常に厄介な【魔王】でもあります…」
そう言った彼女は浮かない表情をしていた
いつも有難う御座います!!
最近会議が多いですね…
「面白い&期待している」という方は★&ブックマークをお願い致します!!
ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!