アカノの正気と笑気
「クロノ・・・」
我ながら何てか細い声しか出ないんだと内心自嘲しながらも名前を呼ぶ
けれども私が呼んだ愛しき人は・・・私の声には反応する事なく私に向かって刃を向けた
「アカノ=エンドロール・・・構えろ。お前に勝って・・・【狂笑道化団】に勝つ。」
「っ?!!私はお前と戦う気はないっっ!!!!」
何よりも、誰よりも愛しい人からの言葉に自然に口から言葉が零れる
当然だ
私はクロノと再び出逢う為に度に出たのだ
そんな私の終着点とも言えるこの場所で私がクロノを傷つける訳が無い
けれど・・・クロノはそんな私の回答を鼻で笑い、見下すかの様な視線を投げかける
「戦う気が無い?・・・安心しなよアカノ=エンドロール、お前と俺は既に死闘を経験しているじゃないか。」
「っっ?!!!」
クロノの言葉を聞くと同時に激しい頭痛が私に襲い掛かる
思わず意識をクロノから反らし、原因不明の痛みへ意識を向ける
「私が・・・クロノと・・・?」
クロノは何を言っている・・・?
クロノとはこの城の王座で・・・
アレ・・・?あれは偽物で・・・?
アレ・・・?
何かを思い出そうとする度に激しい頭痛が私に襲い掛かってくる
私は・・・何かを・・・決定的な何かを・・・忘れてる?
「アカノ=エンドロール・・・君はロキフェルの言っていた通り、その剣に記憶を侵されているんだね。」
(その剣・・・【赤炎】の事か?【赤炎】を造ったのは・・・ゴーガン?ゴーガンはあの時なんて言ってた?)
『嬢ちゃんも早く『せきえん』になれれば良いなぁ・・・』
せきえんに・・・なる?
せきえん・・・?
(aieprjaroejtq] ero@jyqjwe4opjtwm5jw4-9j4[q-w95jq[ -u[)
「あああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
頭の中に不快な声が響き渡ると同時に思わず絶叫する
そしてそれと同時に様々な感情が頭の中に流れ込んでは逆流するかの様な感覚を味わう
「おっ・・・おえぇぇぇぇぇーーーー・・・」
そして抗えない感情を抱えながら、思わず嘔吐してしまう
(ハハ・・・私は格好悪いな・・・)
クロノを探し、クロノと出逢い、クロノと戦い、クロノと道を分かつ
そしてクロノの前で無様に嘔吐している私に格好いい要素は無い
けれど・・・そんな醜悪な私を見せたからだろうか?
何処となく清々しい気分でいる私も確かに存在している
(しかし・・・いい加減五月蠅いな。)
(sdnohao///aeoiaho//ns・・・)
未だに頭の中で微かに聞こえる言葉は私にとって不快である以外の何物でもない
ーーーブンッーーー
特に意識する事なく【赤炎】を無造作に振ると、不快な声が止んだ
「・・・アカノ=エンドロール?」
「・・・クロノ、済まない。私は・・・今目覚めたみたいだよ。」
詰まる所、私はクロノと対峙したあの時・・・もっと言うならばこの【赤炎】を持って旅に出た時からクロノに対する依存が徐々に強くなっていたのだろう
クロノと世界を天秤に掛け、クロノを選ぶ
クロノと友を天秤に掛け、クロノを選ぶ
クロノと父を天秤に掛け、クロノを選ぶ・・・
本来であれば天秤に掛ける必要すらなかったモノを敢えて天秤に掛ける程、私は狂っていた
(そして私は・・・クロノと戦う、か・・・)
選んで選んで選んだ先で何よりも優先したモノと戦わなければならない
これが道化では無くて何が道化なのだろうか?
奇しくも【狂笑道化団】と言う名は誰よりも私に相応しく思えてならない
(だったら・・・道化がする事なんて1つしかない・・・)
私はクロノと対峙しながら剣を構える
私はクロノを拒否し、クロノを哀しませ、クロノと敵対したのだ
そうであるならば私は道化らしく、クロノと敵対するという滑稽な踊りを踊るしかないのだ・・・
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