クロノの再戦の対戦
「・・・・・・ん・・・」
意識があちらからこちらに繋がった様な奇妙な違和感と共に視界が開ける
だが余程深く昏睡していたのだろうか?薄っすらと開けた目から未だぼやけた風景しか映さない
「クロノッッ!!!」
「クロノ様っっ!!」
「旦那様っっ!!!」
聞きなれた声が耳に届くと同時に、視界も次第にハッキリしてきた
するとそこには舞台に上がったルーシャ、ファーニャ、アカノ=エンドロールが僕の方へ刃を向けて立っている
「・・・生きてたの?」
「あぁ、お陰様で、ね。」
いや・・・僕にではなく、僕を取り込もうとしていた彼女に対して刃を向けている
大方、僕が取り込まれるのを防ごうとしていたのだろう
「よっ!」
ヌルヌルとしたゼリー状のモノを手刀で払い、取り込まれない様に距離を開ける
「・・・死んだと思った。」
「だよね・・・僕も正直死んだと思っていたよ。それよりゴメンね。」
「ん?」
「一対一の勝負にも拘わらず、僕を助けようと他のメンバーが君に危害を加えていたみたいだけど・・・」
「ん、問題ない。あの程度では掠り傷1つ付かない。」
そう言った彼女は確かに掠り傷はおろか、息も上がっていない様に感じる
反してルーシャやファーニャ、アカノ=エンドロールの方は致命傷を負ってはいないものの、明らかに息が上がっている
まぁ、ルーシャやファーニャは最初から満身創痍と言った様な状態ではあるが・・・
「ルーシャ、ファーニャ・・・舞台から降りるんだ。」
「「・・・はい。」」
「そしてもし、僕が敗北したとしても彼女の邪魔はしないでくれ。」
「「・・・・・・」」
「・・・頼むよ、2人とも。」
僕がそう告げると渋々と言った感じで無言で頷いて舞台を降りていく
そして・・・
「アカノ=エンドロール、お前も降りるんだ。」
「クロノ私はっ!!!」
「お前との戦いは彼女の後だ・・・しっかりと僕の弱点でも探っていろ。」
「っっ?!!!」
そう言いながら睨みつけると沈痛な面持ちで俯き、そして舞台から降りていく
「・・・冷たい。」
全員が降りたタイミングで彼女はボソッとそう呟く
「まぁ・・・敵には、ね。」
苦笑しながらそう答えると無表情なまま、彼女は言葉を続ける
「私が言うのも変、だけどアカノ=エンドロールは被害者。」
「かもしれない。けれど最終的に決断したのは彼女だ・・・最早彼女には生きていい場所なんて人族領には無いんだよ。」
「ん。・・・どうする?続ける?」
「ハハッ、続けるかどうか分かっている癖に。」
伝えるべきは伝えたという事だろうか?
彼女の言葉を受け入れ返答した途端にこの話は御終いとばかりに戦闘態勢に移行してくる
ーーーーガギィィィーーーーーーーーンーーーー
「っっ?!!!」
「っっ!!」
僕が剣を構えた瞬間、視界から外れて後方から攻撃してくる
だがそれをすんでの所で受け止め、再度距離を取る
(・・・彼女相手に近接戦は圧倒的に不利、中長距離へ誘い込まないと僕の勝利は厳しいな。)
「・・・・・・」
彼女は力業で距離を取った僕を構わず追撃してくると予測していたが、意外にも彼女は自分の掌をジッと見つめて動かない
「どうした、これで終わりかい?」
「・・・・・・さっきよりも動けているの、何故?」
どうやら彼女からすれば瀕死だった僕が急に元気になっているのが不思議だったみたいだ
(まぁそれはそうだろうな・・・)
と納得はするものの、安易に全てを教えてやる訳がない
あちらでブロウドさんに回復して貰ったと言っても半分にも満たないのだ
調子に乗っているとあっと言う間に先ほどの二の舞となる
「まぁそれを教える義理は無いけどまぁ・・・1つだけ、君の中に居るある人の御蔭だよ。」
「っっっ?!!!・・・貴方はほんとに腹正しい。」
どうやら感情が希薄な彼女でも、やはりブロウドさんの事に関してはその限りではない様だと内心ほくそ笑んだ
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