クロノの思考と思案
(・・・此処は?)
いつの間に眠っていたのだろう?
気怠い身体に鞭打って立ち上がって辺りを見渡した
(・・・あの場所かな?)
辺り一面に花が咲き誇り、甘い匂いが鼻孔を擽る
ざっと辺りを一望するも、何の音も聞こえず見渡す限りの花畑が見えるだけだった
(・・・歩いてみよっか)
このまま立ち尽くしても何も起こりそうに無いと思い、目的地も無く適当に歩きだす
心を落ち着かせ、思考を纏めたい僕としてはこのまま立ち尽くしても何の実りも無さそうだと言うのが大きな理由の1つだが・・・何となく進んだ方が良い気がした
(確か僕は・・・)
【狂乱ノ道化】と戦った事は覚えている・・・
で・・・確か斬り刻まれて・・・
(あぁ・・・僕は・・・死んだのかな・・・?)
そう思うと胸につかえていたものがストンと落ちたと同時に申し訳なさもこみ上げてくる
結局の所、皆が必死に戦ってくれたにも拘わらず、僕は【狂笑道化団】に勝つ事が出来なかった
後悔は無いけれど、悔いは残る
(そう考えると・・・ハハッ、情けないな。)
今頃ルーシャやファーニャ達はどうしているだろうか・・・?
そう考えるとやり切れない思いが心に去来する
去来はするが、だからと言って僕自身が出来る事は何もない
彼女たちに好意を寄せているし、愛情も持ってはいる
だが・・・死んでしまえば何も出来はしない
長年寄り添った老夫婦の片割れが先に逝き、残された方を慮っても何も出来はしないのだ
(彼女たちの人生が幸せに満ち溢れていれば良いんだけどね・・・)
そんな事を僅かに願いながら仮初の姉たちの事を思う
アカノ=エンドロールは・・・恐らく後悔して生きるのだろう・・・若しくは自殺でもしてしまうかもしれない
彼女は死んだとされる僕を探しに旅に出る程に僕の事を思っていた
そんな僕が目の前で死んだのならば後を追っても可笑しくはない
そしてもう1人の姉は・・・彼女は良く分からない
ブロウドさんを渇望し、彼女の中ではブロウドさんと1つとなった
その虚無感から逃げる様に僕と戦ったけれど・・・それも終わったのなら、彼女はいったい何を求めるのだろう?
虚無感に駆られ世界を滅茶苦茶にしたとして、その後彼女はどうするのだろう・・・
(まぁ、これもまた意味のない事なんだけどね・・・)
どんな結論を導き出せたとしても、僕は既に死んだのだ
出来る事なんて何もないし、どうしようもない
そんな事を考えながら、無人の花畑をゆっくりと歩き続ける
「・・・荒野も廃墟も花畑も、其処に在るというだけならば何も変わらないな。」
そりゃ心の持ちようだったり、受け止め方だったりその他にも違う事は沢山あるのだろう
けれど其処に在るというだけならば結局は僕らの心中は変化しない
荒野を進みつづけても荒野があるとしか思わないし、廃墟を進みつづけても廃墟があるとしか思わない
どんなに綺麗な花畑があっても進み続ければ花畑があるとしか思わない
「結局の所、其処に何が在るというよりも・・・誰が居るのかという事の方が大事なんだろうな・・・」
足を止めて、視線の先に居る人物に目を向ける
「やぁ、先ほどぶりだね。」
その言葉に僕は端的に返事をする
「そうですね・・・ブロウドさん。」
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