クロノの猛撃と反撃
「へぇ・・・そんなに僕の事を想ってくれているんだ。正直、ちょっと意外かな。」
「・・・貴様は我が欲した【真祖】、今や我自身ではあるが・・・ソレよりもホンの僅か事足りていない程度には胸の内を掻き毟るわ。」
【狂乱ノ道化】の回答には驚きを隠せない
僕にそこまで執着心を持っていたのならば接触の機会でもありそうなものだが・・・
「勘違いするなよ、【魔神】。貴様に様々な感情を抱いているのは我ではあるが【真祖】2人よ
。」
「あぁ、まぁそうだよね。」
それはそうだろうなと納得する
もしも【狂乱ノ道化】が僕の姉であれば、そこまでの執着心をもっているにも拘わらず何も行動を起こさないと言う方が不自然だ
「我の中に居るある【真祖】は・・・深い・・・深い渇望を抱いている・・・それとホンの僅かな尊敬の念も抱いているな。そして・・・もう1人の【真祖】は・・・」
「もう1人の【真祖】は?」
前者はソテルアスだろう・・・
あれだけ苛烈な性格だったのだから渇望というのは恐らく再戦を求めているという事だろう
彼に僅かでも尊敬の念を持たれていたというのは意外ではあるが
後者はブロウドさんなのだろうが・・・
「もう1人の【真祖】は・・・貴様に様々な感情を抱いている・・・友情・・・愛情・・・敬愛・・・」
「・・・そっか。」
時間稼ぎのつもりが思わぬ事を聞かされ若干頬が緩む
ブロウドさんに大切にされていた自覚はある
あるが・・・改めて言語として他者から伝えられると嬉しいことこの上ない
「・・・そして喜べ、もう1人貴様に深い感情を持っているものが居たぞ。」
「へぇ・・・」
先程と打って変わって魔力の出力が跳ね上がってくる
それこそ、先ほどよりも【憤怒タル血】の効力が強くなっている
いかれる原因は恐らく・・・
「喜べ、貴様の実姉だ・・・憤怒・・・羨望・・・憎悪・・・殺意・・・嫉妬ぉぉーーーーーー!!!!」
「がっっ!!!!」
突如腹部に強烈な痛みが襲い掛かって来る
そしてそれと同時に身体が宙に浮き、まともに身動きが取れない
「何故貴様だけがっ!!!!」
「がぁっっ!!!!」
背後に強烈な痛みが襲い掛かり、そのまま宙で吹き飛ばされる
「っっ?!!!」
そして吹き飛ばされる僕の前方で【狂乱ノ道化】は既に待機し攻撃姿勢を取っていた
「何故貴様だけがぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!」
「ぐぅっっ!!!!」
辛うじて防御態勢をとりつつ【狂乱ノ道化】の攻撃を軽減させる
だが当然、それでも無傷という訳にはいかずそのまま落下させられてしまった
「貴様だけがぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!」
「っっ?!!【暴喰王ノ口】っっ!!!!!・・・ぶふぅぅーーー!!!」
上空から飛び降りるかの様に追撃を行おうとする【狂乱ノ道化】に対し、【暴喰王ノ口】で迎撃態勢を取る
だが・・・【暴喰王ノ口】が完全に顕現される前に僕の腹部に渾身の攻撃が襲い掛かって来た
(やばい・・・やばい・・・手札をしくじった・・・)
意識が朦朧とする中で自分の過ちに後悔する
どう考えてもあの場面で【暴喰王ノ口】は早計すぎた・・・
「あぁっっ!!!」
「・・・何故貴様だけが、我に愛されているのだ。」
【狂乱ノ道化】に首根っこを捕まれ宙ぶらりんの状態となる
そんな僕に問いかけてくるが、当然僕は話すことが出来ない
「貴様よりも我の方が愛していた・・・貴様よりも我の方が傍にいた・・・貴様よりも我の方が望みを叶えようと奮起していた・・・」
「・・・・・・」
「にも拘わらず我では無く貴様がっ!!!貴様が我の欲しいモノ全てを与えられていたっっ!!!何故だっ?!!何故貴様なのだっっ?!!!」
「・・・・・・」
「貴様が我の欲するものを何故持っているっ?!!答えろクロノ=エンドロールッッ!!!」
「・・・・・・が・・・」
首を絞めつけられ、意識が朦朧とする中で一声上げるという博打に乗り出す事にした・・・
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