ブロウドの家族と黙葬
「どうだ我が君?これこそが我の得た力っ!!正確に言うならば我が君と溶け合う為に手にした切り札だっっ!!!」
「・・・・・・」
「我が君のお力がいつ戻るかは分からないっ!!だからこそお力が戻っても溶け合える手段が必要だったのだよっ!!!この力があれば世界を面白くする事が出来、それを我が君にご覧頂き満足感を抱えたまま我と溶け合って頂くプランだったのだがなぁっ!!!」
「・・・・・・」
「だがまぁ我が君の為に目指した面白い世界など最早どうでも良いっ!!我は我が君と溶け合い1つになることが出来るのだからなぁーーー!!!!」
「・・・・・・参ったなぁ。」
「この姿になった我には初級魔法などというものでは掠り傷1つ負わせる事は出来ぬっ!!!我が君といえども我の前では蹂躙されるしかないのだよっ!!!」
「・・・・・・まさか、ねぇ」
「どうした我が君っ?!!早々に諦めたのかっ?!!致し方ないとは言え少しばかり歯向かって貰ってもいいんだぞっ?!!!」
考え事をする私に対し、ソテルアスに模した彼女が大声でがなり立ててくる
全く・・・今の私がソテルアスに一撃入れるなんて出来る訳がない
これは0.1%も無い等ではなく、実質0%だ
「我がき「少し黙っておいてくれるかなぁ?」っっ?!!!」
少しばかり冷たい声色で言葉を発してしまったが致し方なしだろう
そんな勝率0%の相手を前に去来するのはソテルアスの事だ
「・・・・・・ふふっ、私たちは家族だった、のかもしれないね。」
出逢ったばかりの頃は互いに助け合ってきた
【真祖】となった頃は酒を飲みながらよく馬鹿騒ぎをした
次世代の事を考えると目指すべき道が異なり喧嘩をした
そこから互いに距離が出来てはいたが・・・なんとなく互いの行動を見ていたりもした
「何の事は無い・・・私と君は家族だった。今になってそんな事に気づくなんてね・・・」
そんな家族が自分の知らない所で失ってしまっていた
この哀しみとでも言えばいいかも把握できない感情は何処ぶぶつければいいのだろう・・・?
「・・・だよね、やはり君にぶつけるしか手段はないよね。」
目の前には【真祖】ソテルアスの仇である【真祖】ソテルアス
これを倒して私は初めて彼の為に祈りというものを捧げることが出来るのではないだろうか?
「じゃあやるしか・・・ないよね。」
最早勝つ勝たない等ではない
一撃を与える事は0%だからこそやる必要がない訳では無い
彼がそれを望んでいるとも毛ほども思わない
私がやりたいからやる・・・ただそれだけなのだ
「一撃でも喰らえば私は死ぬ・・・所か肉片になっておりだろうが、ね。」
私は敵討ちなどと言う動機ではなく
ただやりたいからやるという理由で【真祖】の前に立ちはだかった
◇
◇
「・・・無理だ。アレは・・・無理だよ。」
僕は目の前の光景を見て思わず呟く
ブロウドさんの前に立ちはだかるのは【真祖】ソテルアス・・・
ハッキリ言って僕は彼にもちゃんと勝てたとは思っていない
もう一度戦っても勝てる自信なんて僕自身・・・正直全くない
それにそこまで素早くないとは言ってもそれは飽くまで今の僕基準だ
・・・今のブロウドさんでは何が起こったかも理解できないスピードで文字通り瞬殺されるだろう
そう考えて僕は1つの結論に達する
ーーー敗北を宣言しようーーー
当然の判断だ
勝てる要素が皆無な相手とブロウドさんを戦わせる訳にはいかない
それに敗北すれば彼が居なくなってしまう
どう考えても敗北を宣言するべき場面だ
なのに・・・
僕が口を開こうとしたその瞬間、ブロウドさんは背中越しに手をこちらに向け・・・僕の言葉を動作1つで遮った
いつも有難うございます。
「面白い&期待している」という方は★&ブックマークを是非ともお願いいたします
ご感想やレビューも心よりお待ちしております