サイクスの解説と解決
「はははっはぁぁはははははははっははははっはーーーーーーーーー・・・・はぁ・・・」
一頻り嗤った私は不意に冷める
この串刺しの態勢も悪くはないが流石に飽きた
見下ろす様な形で【魔王】へ視線を向ける
「っっ?!!!」
・・・失礼だな
目が合ったから嗤いかけただけなのに明らかに忌避感を抱いているのが理解できた
「・・・こんなものか。」
妖精霊族の【魔王】ともなれば魔力の潤沢さには目を見張るものは確かにあった
あったものの・・・威力は大したことが無い上に属性が無い
属性が無いという事は決定的な手段になり得ないという事だ
彼女を使うとすれば・・・魔力を動力とした電池でしか使い道が無い
私の衣服を破った魔力の棘を分解し、地面に降り立つ
「あぁ、衣服がボロボロだ・・・」
結合させても良いのだが衣服が必要以上に薄くなりそうでなんとも気が進まない
「あ、貴方・・・あれで死ななかったの・・・?」
・・・ん?
この【魔王】は何を言っているんだという疑問は湧くものの瞬時に理解する
まぁ腐っても【魔王】なのだ、自分の攻撃に絶対の自信を持っていたのだろう
「フフフ・・・ははっ・・・」
根拠のない自信が砕けたのだと理解すると思わず嗤ってしまう
たかが【魔王】・・・その薄っぺらい称号に自信を持っていたのならば失笑だな
「ははっ・・・いや失礼・・・あぁ、勿論死なないよ。あの程度の攻撃等、ざっと思考しただけで14通りの対策が浮かぶからね。それだけの手数が浮かべば死にようが無いさ。」
「・・・随分と口調が滑らかになりましたね。それに14通り?強がるにしても少し言い過ぎではありませんか?」
「フフフ・・・先ずは口調だがね、これは私なりの敬意だと思ってくれ給え。仮ではあるが私に一撃いれた君を対等に近しい存在だと認識を改めたのだよ。」
「認識を改めた?」
「そう、赤子に話しかける様にでは無くてね、互いに成人したモノとして接しているつもりだ。」
「何処まで馬鹿にしてっ・・・!!!」
「あともう1つの件だがね、例えば私が地面を分解し自らを落とし穴に落とした場合、単純な動きでしかないあれは追撃出来ないだろう?それが1つ目。2つ目は先程に創った腕までの距離はそう遠くないだろ?跳躍して地面の攻撃を避ければこちらやってくる僅かな棘位は消失するのは容易だ。他にもまぁ色々と説明は出来るが、どれを選択してもやはり死にようが無いね。」
淡々と説明する私に反してこの【魔王】は屈辱的な表情を浮かべる
全く・・・私が丁寧に説明しているのだから受け入れてほしいものだ
「そもそも寓話の様に人族領では【不吉ノ象徴】とまで語り継がれている私に対してあの程度で勝利を確信するのは些か軽視し過ぎていると言わざるを得ない。」
「その【不吉の象徴】ですか・・・人族領では黒髪黒目のモノはそう呼ばれていると旦那様からはお聞きしておりますが。」
「そうだね、黒髪黒目のモノを総じてその様に呼称するけれどもそれは決して正しい回答ではない。」
「・・・と言うと?」
「私こそが【不吉ノ象徴】だ。私以外のソレはただの二次災害により呼称されているだけの存在だ。」
「・・・旦那様が仰るには遥か昔からその様に言い伝えられているとお聞きしておりますが。」
「そうだね。あの頃は私も若かったからなぁ・・・」
「・・・人族の寿命は長くとも50年位だとお伺いしておりますが?」
「そうだね、純正の人族ならば寿命はその程度で終えるだろうね。」
「・・・貴方の容姿は30代そこそこの様に見えます。失礼ながらにわかには信じがたい事柄ですね。」
「やれやれ・・・どうやら私は君の事を少しは話せる魔族だと過大評価していた様だよ。」
「・・・なんですって?」
「寓話にも語られる【不吉ノ象徴】、それが一般的な生物と同様だと本気で思っているのかい?」
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