クロノと対峙の開始
「我は、クロノ…クロノ=エンドロール也…」
僕がそう名乗ると家臣の人たちは驚いた表情を浮かべる
「この御方は【クロノ=エンドロール】様です。今までどの国にも属しておらず、私が人族に襲われていた所を助けて頂きました!!」
そう言いながら自信満々に僕の紹介をしてくれる
「ひ、姫様…本当にこちらの御方を【魔王】様に据えられるのですか?」
「左様、そもそもこの御方は獣人なのでしょうか?」
それを聞いたルーシャは若干不満げな表情を浮かべる
「勿論、本当ですよ。この御方は獣人ではありませんが、お優しいお方です。我らに対して過ごしにくい生活を強いる事は致しません。」
「グ、グーガ…姫様はその様に仰っておられるが…」
「さ、左様、獣人ではない【魔王】でこの国は大丈夫なのか?」
家臣たちのその言葉を聞きグーガは頷く
「クロノ様の強さは本物ですし、称号も間違いなく【魔王】となっておりました。この国が大丈夫なのかという質問に関しては割愛致します。なんせ、目の前で自分が卑下されているにも拘らずお怒りになっていらっしゃらないのが証拠ではありませんか?」
その言葉を聞いて家臣たちは目を合わせて慌てだす
…いや、それ位では怒らないよ?
新参者が突然湧いて出てきたんだから疑心暗鬼になるのは当然だし…
「しかし、その…強さに関しましては本当にお強いのでしょうか?」
「さ、左様…【魔王】ですのでお強いとは思いますが…その…」
まぁ信じられないってことだよね?
それも当然だと思うし、僕はそこまで強いとは思わない
ブロウドさんにも並の魔族なら倒せるって言われただけだし…
そんな僕の思いと裏腹にルーシャが得意げに返答する
「お強いですよ!!逆にお聞きしますが人族数十人を魔法1つで全滅させることが出来る者がおりますか?それに…今この国にはそこまで選別する余裕が無いのです。その中でこんなに素晴らしいお方と出逢えた幸運ではありませんか?!」
それを聞くと家臣たちはまた顔を見合わせる
「畏まり「姫様、宜しいでしょうか?!!!」
家臣が承諾の言葉を発する途中に野太い声が響き渡る
「誰ですか?!!」
ルーシャの声に呼応して1人の体格の良い獣人がこちらに近づいてくる
髪をオールバックにし髭を蓄えた、いかにも強そうな虎の兵士だ
(多分、この人が騎士団長かな?)
グーガよりも強そうという理由でそう考えていると、ルーシャの前で跪く
「ルーシャ様、御身がご健勝の事、心よりお喜び申し上げます。」
「有難うバルデイン。所で何か言いたい様子でしたが?」
「はっ!!こちらの御方を【魔王】様へと据える前に実力を体感させて頂きたいと思います。前【魔王】様の御身を守れなかった我々ですが、それでも今まで他国の兵士を相手に持ちこたえてきた意地も御座います。即位された後ではそれを体感する事は【魔王】様を守るこの身では叶う事は出来ません。何卒!!」
成る程な…
結局の所、全員の前で力を見せろと言っているのだ
力を見せれば認めてやる、と…
そうであればこの要求を断る道理はない
自分は魔族としては常識も知らないのだから、他の獣人たちの助けはどう考えても必要だ
彼らと戦う事で認めて貰えるなら、それに乗っかって行くべきだな…
「バルデイン、アナタは私が…」
ルーシャはこちらに気を遣い断ろうとしてくれていたが、それを手で制する
「魔族は、強者のみが道理を、得る事が出来る。ならば、我が其等と相まみえれば、何ら諍いは無い、そう謳う事に相違ないな…?」
そう告げるとバルデインはこちらに目を向ける
「新たな【魔王】よ、アナタの仰る通りだ。アナタの力を拝見する事が出来れば我が国一同がアナタに忠誠を誓う。」
「ならば問答は、無意味よな。刃向かうが、良い…」
バルデインの表情がパッと明るくなる
「流石は【魔王】!その豪胆さに見事と言わざるを得ません!!では…【獣王国サンドラ】の精鋭7人と相対して頂いて宜しいでしょうか?」
「是非も無い…」
正直、勝てるかどうかは分からない
精鋭なんて並の魔族では無い事くらい分かっている
それでもぼかし続ける事なんて出来はしないんだ
僕は拳に力を入れた
いつも有難う御座います!!
そりゃ勝手に王様です!!って言われても実感湧かないですよね…
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