ダンキの攻撃と口撃
「はぁ・・・はぁ・・・」
餓鬼に俺の渾身の一撃が入った瞬間、疲労感が一気に襲い掛かってくる
久しぶりに本能のまま振った大剣は今までよりも体力も気力も削られた気がした
「しかし・・・ドワーフ達には感謝だな・・・」
俺の手に握られている大剣に視線を落としながら思わず呟く
この大剣はクロノスにやって来たドワーフに依頼し、生成された大剣だ
主に献上された魔力を一切通さない代わりに耐久性を限界まで鍛え上げている
斬れ味も最低限の性能しか有しておらず斬るというよりは打ち込む事をコンセプトに磨き上げられた一品だ
「まさか・・・それもドワーフ族の創った大剣とはな・・・」
そう言いながら餓鬼はフラフラと立ち上がる
先程までの傷は兎も角、今の一撃は楽観的に見て致命傷、悲観的に見ても致命傷に準ずる傷を負わせている
どう考えても剣術の門前に立っただけの餓鬼ではこれ以上の猛攻を防ぐ事は出来ないだろうという様相が目に見えて理解できる
「お前の言葉じゃねぇが勝負は決した。・・・さっさと敗北を認めろ。」
「・・・敗北?・・・あぁ敗北か・・・確かに今なら認めても良いかもしれない。」
餓鬼の何気ない一言を聞いた瞬間、即座に理解する
やはり先ほどの挑発は餓鬼の本意ではなかったのだろう
何を考え、どの様な結論に至ったのかは理解できない
けれども餓鬼は結論、若しくは過程の中でこの戦いは敗北するという選択肢を選んだのだ
「良いころ合いではあるがな・・・どうやら俺はこのまま敗北を受け入れる程の度量は無かったらしい。」
そう言い放ち、折れた大剣を放り投げて無造作に近づいてくる
その足取りは若干覚束なく、気力は兎も角、体力は限界が近いのだろう事は容易に理解できる
だが・・・餓鬼は俺から視線を切る事はせず、確信を持ったかの様な視線を投げかけてきた
「・・・面白れぇ。」
餓鬼の真意を汲み取り、俺は大剣を地面に減り込ませて餓鬼の方へ近づいて行った
そして互いの身体1つ分程度の間隔まで近づいた所でどちらともなく立ち止まった
「結局、俺とお前の喧嘩はコレが1番シンプルなんだろうよ。」
「ハッ、筋肉馬鹿と同じ思考であると考えると寒気がするが・・・まぁ概ね同意する。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
炸裂音の様な轟音が鳴り響く
そしてそれと同時に俺と餓鬼の頬に互いの拳が減り込んでいた・・・
「・・・・・・はっ」
「はははは・・・」
「「はははははははははははははっっ!!!!」」
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
互いに一歩も退く事無く、ただただ相手に対して拳を打ち込む
何故かそれが異常に楽しい
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
「ハハッ!!ステータス的にはお前の方が不利だぜっ?!!」
「ハハッ!!致命傷を負っているのはてめぇだろうがっ?!!それにてめぇは知らねぇだろうが俺は【魔皇帝】だからなっ?!!」
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
「ハッ!【魔皇帝】だろうがただの殴り合いなら俺の方が分があるぜっ?!!」
「ぬかせっ!!致命傷を負っている【魔王】の拳なんざ屁でもねぇ!!」
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
「おいおい餓鬼ぃ?!もうへばったのかぁ?!!」
「お前こそそんな拳で俺を倒せると本気で思ってんのかぁ?!!!」
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
ーーーードゴォォォーーーンーーーー
そしてそのまま殴り合いを続けてどれ位経ったのだろうか・・・
永遠とも思える時間は終焉を迎え、いつの間にか1人が立ち、1人が倒れこんでいった・・・
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