ダンキの葛藤と発狂
「っっ?!!!」
たった1度だ
たった1度ではあるが俺の斬撃を完全に防がれた
「・・・ハッ、運が良いな。」
思いもよらない形で防がれ同様した頭を切り替え、再度取り留めのない斬撃を繰り出す
「くっ!!!」
するとやはりと言うべきか・・・餓鬼は俺の斬撃を受け傷ついていく
(あれは偶然だ)
そうは思うがやはり嫌な予感は拭えない
そしてそんな嫌な予感ほど現実と成り得る
ーーーガギィィィーーーンーーー
それを裏付けるかの様に餓鬼はまた俺の一撃を受ける
「は、ハハ・・・どうした?スタミナ切れ、か?」
「そ、そんな訳ねぇーーーーーーー!!!!」
俺の焦りを感じ取ったのか傷だらけにも拘わらず得意げな表情を浮かべて挑発してくる
その表情に蹴落とされるかの様に俺は思わず葛藤のままに剣を振り下ろす
「・・・う、うおぉぉぉぉぉーーーーーーーー?!!!!」
だが俺の攻撃は受け止められずに半身の構えから回避され、それと同時に餓鬼の斬撃が襲い掛かってきた
虚をつく餓鬼の攻斬撃に対して俺自身の回避が間に合わずに胸部を深々と斬りつけられる
「はぁ・・・はぁ・・・やっと俺の攻撃が通ったな。」
「が、餓鬼ぃぃ・・・」
先程と同じく冷たい汗が背中を伝う
餓鬼が見せた動きや剣筋・・・それは拙いながらも確かな剣術だ
「幾らステータスが高くとも当たらなければどうと言う事はない、か・・・ハハッ、勉強になった。」
「・・・まさか俺の剣術が剣術で返されるとはな。」
身体中の至る箇所から血が流れているにも拘わらず意にも介していないかの様に太々しく笑う
その表情を見てコイツも剣術の扉の前に立ったのだと理解する
「剣術、か・・・魔族には無かった発想だ。」
「あぁ・・・弱者の発想だろうが馬鹿には出来ねぇ。」
「だが強者も剣術の扉の前に立てば弱者でも強者に勝つ道理はないよなぁ?」
「・・・ちっ。」
俺が嫌な予感だと感じたのはコレだろう
餓鬼の言う通り、強者も弱者も剣術を同じくらいに習得すれば勝つのは強者だ
そしてステータスだけで言えば餓鬼の方が俺よりも強者だ
「勝負の結果は見えた。大人しく敗北を受け入れれば俺はそのままお前たちの元に戻る事が出来る。・・・それで良しとしてくれないか?」
「はぁ?!!!」
「何か変な事を言ったか?俺はこの戦いの結果に拘わらず【魔神連合】に戻る。そうすればマリトナの願いを叶えることが出来るしそっちの戦力も増加される。【魔人】様から戻る事の許可は得ているし【剣神】の情報を伝えることが出来る。ついでに【狂笑道化団】にも義理立てが出来て全てが上手くいくだろう?」
「お前ぇぇぇぇぇーーーーーー!!!!!」
餓鬼のその言葉を聞くと同時に頭が真っ白となり思わず斬りかかる
「ハッ、何を怒っているんだ?」
「お前・・・お前はソレを言っちゃいけねぇだろうが!!!」
俺の斬撃を易々と受け止められた事すら何も思わず鍔迫り合いをしながら思わずそう叫ぶ
あいつは・・・マリトナはそんな打算的な理由の為に逝ったんじゃねぇ
主は戦力の増加とかいう理由の為に待っていると言った訳じゃねぇ
2人共ただただ純粋にコイツの身を心配して願った筈だ
「ふん・・・相手に打算があろうとなかろうと・・・これが俺だよ。」
「このっ・・・!!!」
尚も悪びれもせずそう悪態をつく目の前の面を
「馬鹿野郎がぁーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
俺は無意識の内に剣を手放し・・・力の限り殴り飛ばしていた
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