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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
ⅩⅧ章【ボクトアナタトワタシトキミト】
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ダンキの猛攻と本能


「おいおいおい、このまま終わっちまうってかぁ?!!!」


(まぁ、そんな訳ないわな)


俺は攻撃を続けながらそう挑発してはみるものの、そんな訳がない事も充分に理解している

それはある意味で信頼と言っても良いだろう

餓鬼は馬鹿ではあるがこのまま何も出来ない様な馬鹿ではない


(だったら・・・)


打開策を講じられる前にできる限り傷を、あわよくば致命傷を与えておきたい

そう思い、より攻勢を仕掛けていく


(まさか俺が我流とは言え、剣術を使う日が来るとはなぁ・・・)


そんな事を感慨深く思ってしまう

俺が剣術の必要性を痛感したのは【剣神】・・・主の姉とのあの戦闘だった

力技で押し切ろうとする俺に対し、剣術という技術で圧倒的なステータス差をものともせずに圧倒する姿・・・憤怒した様相にも拘わらず、洗練された技術に為す術も無く圧倒される俺の心中は苛立ちと同時に強烈に目を奪われる

技術とはかくも美しいのか

技術を前にするとこうもままならないモノなのか、と


そして俺は【剣神】との戦闘により九死に一生を得、【真祖】に誘われたあの場所で真っ先に思いついたのが剣術だった

そんな俺にとって何よりも運が良かったのは【真祖】も剣術に興味を持っていたという事だ

【真祖】と共に剣術を思考し、研鑽し、練り上げる・・・

それは俺1人で剣術をモノにしようとするよりも明らかに早いスピードで此処まで辿り着く事が出来た


(それでもまだチャンバラと変わらねぇが・・・餓鬼とは戦える)


手ごたえを感じながらも先ほどの戦いに思いを馳せる

【剣神】が剣術の完成形だと思っていた

あれこそが俺の目指す剣術だと思っていた

だが・・・主の親父殿が見せた剣術は【剣神】ですら格が違うと理解できた

剣術の前では魔族である事も【称号】もそれ程の決め手にはならない

そう理解するのに1分の時間も要する事は無かった

あれ程に完成された剣術を今の俺では形にする事は出来ない

だが・・・アレを目指すことは決して間違いではない筈だ


俺は猛烈に憧れたアレを模倣するかの様に餓鬼に対して斬撃を繰り出し続けた



ーーブシュッーー



ーーブシュッーー



すると少しずつではあるが、俺の斬撃が餓鬼の身体を鮮血に染めていった

そんな餓鬼を見ると俺の剣術は通じるという達成感と同時に、何とも言えない苛立つ感情が沸き上がってくる


「おい餓鬼っ!!その図体は見せかけかぁ?!!」


「・・・・・・」


「たかだがステータスが高い程度で何を自惚れていたんだ?!これだったら元の姿のお前の方が歯ごたえがあったぞ!!」


「・・・・・・」


「俺は女と違って優しくないからなぁっ!!お前がこのまま死ぬというのならば・・・それでも良い・・・ぜっっ!!!」


そう叫びながら渾身の一撃を餓鬼の頭上の振り下ろす



ーーーブシュッーーー


「くっ!!!」


(っっ?!!!)


だが俺の斬撃は餓鬼の頭上に振り下ろされず、鎖骨部分を斬り裂く

餓鬼の胸部を鮮血が飛び散るが、これも致命傷とは言い難い


「たまたま・・・たまたまだぁーーー!!!!」


「があぁぁぁ!!!」


腹部を狙った側面からの斬撃も、餓鬼は腕をわずかに捻りながら防御する


「・・・お前、まさか。」


止めること無く攻撃を続ける俺の背中に疲労とは違う冷たい汗が背筋を伝う

このまま終わる訳がないとは思っていた

だがそれは・・・魔力の放出による隙だったりする所謂力業で俺の攻撃を中断させると思っていた

だが・・・


ーーブシュッーー


「くっ!!!」


ーーブシュッーー


「かっ!!」


ーーブシュッーー


俺の斬撃のどれもが餓鬼に通る

だが、俺の斬撃のどれもが致命傷になっていない


「・・・マジか。」


そして・・・



ーーーーキィィィィーーーーーーンーーーー



俺の猛攻を受けながらも、この時初めて俺の斬撃を受け止めた・・・

いつも有難うございます。

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