マリトナの氷結と評決
「主の仰りたい事は理解致しました・・・ですが納得できない点が幾つか御座います。」
「まぁ、そう言うだろうけどね・・・だけど私が交わした約束にはソレは該当しないよね?」
主としては賭けは『裏切った理由を説明する』事であって裏切っていない場合であったり、私の疑問点に関しては説明する義務はないと、そう言いたいみたいだ
それは勿論正しいけれども私としては『はいそうですか』と納得は出来ない
主が【魔神】様の為に動いたという事は理解出来た
誰にも殆ど告げる事がない、本人ですら半場以上諦めていたであろう願い
魔族領を統一し、人族領の災害とも言える存在・・・止めに神にも等しい【真祖】を打倒し配下に加えた【魔神】・・・この世界の全てを牛耳り、新たな【神】を名乗る事すら決して烏滸がましくはない
そんな存在であるにも拘らず、当人の願いは『愛すべき大切なモノとの静かで平和な日常』・・・
そしてその愛すべき大切なモノとは・・義姉であるアカノ=エンドロールと義父であるカノン=エンドロールの事だ
主は【魔神】様とアカノ=エンドロールを引き合わせ、穏やかな生活を過ごして貰う為に動いていた
此処までは理解できる
だが・・・
(・・・何故誰にも相談せずに動いていた?)
(・・・何故あの時、私達を攻撃した?)
(何故・・・私を・・・連れて行ってくれなかったの?)
そんな疑問が湧き出る度にそれと同時に哀しい気持ちも湧き出て来る
けれど主はそんな私の疑問に答えてはくれないだろう・・・
「主、約束してください・・・。この勝負で私が勝てば私の疑問の全てに答えてください。」
「・・・あぁ良いよ、この勝負で君が勝てば僕は全ての疑問に答えよう。残念ながらそんな未来は訪れないだろうけど、ね。」
『姫の仰る通りよ。同胞のよしみ故に優しく殺してくれよう。』
『止めよアザゼル、姫の大切な部下ならば可能な限り生かしてやるのが情というものよ。』
私達の話を静かに聞いていた悪魔もが眼前に立ちはだかる
どう考えても勝ち目は無いだろう・・・
確率で言うならば甘く見積もっても0.000000000001%という所だろう
『では、な同胞。四肢の欠損が少ない内に敗北を宣言してくれよな。』
そう言って眼前でグレゴリと呼ばれた悪魔が魔力を纏わせた手刀で攻撃してくる
(0.000000000001%の勝率を・・・先ずは2%に上げるっ!!)
『っ?!!!』
グレゴリの手刀を回避し、背後から魔力を直接流し込みながら
「【氷結ノ魔弾】っっ!!!!!」
『なっ、ガガガッガガガガガガーーーーーーーーーっ!!!!!!』
余す事無くゼロ距離から超級魔法を悪魔に撃ち込む
どうやら私の予測通り、超級魔法が直撃したグレゴリは右肩部分が消滅していった
『同胞、何をしたっ?!!!!』
攻撃をして膠着した隙を狙い、今度はアザゼルが攻撃を仕掛けて来る
攻撃自体は間違い無く強力ではあるが、素人のソレと変わらない斬撃を僅かな動きで回避し、グレゴリの時と同じ様に左腕に直接魔力を流し込み
「【氷結ノ魔弾】っっ!!!!!」
『何をっバババババアッバババッバババッッ!!!!』
するとやはりグレゴリの時と同様、アザゼルという悪魔も攻撃を受けた左腕が消滅していった
悪魔達から距離を取り、次の猛撃に備えていく
(勝率は望外の8%位までは上がったけれど・・・次からは舐めて掛かっては来てくれないでしょうね・・・)
全身に駆け巡る痛みに思わず脂汗が出て来る
けれど・・・此処だけは譲ってはいけない
私は必死に身体を鼓舞させて次の策を講じるために頭を悩ませるのだった・・・
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