ロキフェルの襲撃と挟撃
「さぁマリトナ、君の望む通り魔法だけで戦おうじゃないか。君が私に掠り傷でも負わせることが出来れば君の勝ち。その時は私の目的を話してあげよう。対して君には・・・そうだなぁ、ハンデをあげよう。君には掠り傷では無く、君自身が敗北宣言をしたら僕の勝ちとしようか。あぁ、当然君が死んでも僕の勝ちだよ?」
そう告げるとマリトナは絶望的な表情を浮かべる
まぁ、気持ちは分かる
目の前には過剰と言っても差支えの無い悪魔が2体、僕を含めて3体を相手に掠り傷を与えなければならない
自分の強さが理解できる者であればある程、絶望の淵に陥りやすい状況だろう
『姫、其処にいる同胞に勝利すれば良いのですな?』
『貴様は何を聞いていた、アザゼル。ただ勝つのではなく、魔法での攻撃でしか許されないのだぞ。くれぐれも姫にご迷惑をおかけするでないぞ。』
そう言うが否や、二人は宙に魔力を包括させた玉を浮かび上がらせる
「全く・・・2人も気が早いよ。」
そう言って視線を向けると・・・マリトナは未だ動揺はしているものの、戦闘態勢に移行して魔力を練り上げる
「分かっていると思うけれど、君が敗北を宣言すればこの勝負は即座に終わるからね。」
「・・・えぇ、分かっております。」
なんだかんだ言ってもこんな僕に此処まで尽くしてくれた部下だ
ゴミくずや塵芥の様に命を無造作に刈り取る事はしたくはない
だから僕の内心の無作為に入り込もうとせず、今すぐに敗北を宣言してくれればいいと思っていたのだが・・・
「此処で私が敗北を宣言すれば・・・主とは決別してしまうという事ですよね?」
・・・どうやら彼女は僕が思っていた以上に頭が良くなかったみたいだった
(・・・だったら)
「アザゼル、グリゴリ。聞いての通り、彼女は忠義の厚い私の元部下だ・・・それを踏まえた上で魔法攻撃のみでアレを駆除せよ。」
『姫のお申し付けのままに。』
『御身の意志のままに。』
そう言って礼を取ったと思えば、すぐさまマリトナの方へ2体は向かっていく
私は奴等の後ろ姿を見て3分以内には勝負は決されると予想した
◇
◇
『自己紹介が未だだったな。我は【悪魔】グレゴリ、姫に忠義を尽くすモノよ。』
『我は【悪魔】アザゼル、姫に忠義を尽くすモノだ。』
そう自己紹介を行いながら距離を一気に詰めて来る
「っ!!!」
奴等が迫って来る軌道線上に魔法攻撃を仕掛けるが、そのいずれも少しも焦る事無く回避していく
『成程、確かにそれなりに練り上げてはいる様だが・・・如何せん年季が違う。』
『そう言ってやるなアザゼル、これでも悪魔族としては中々に優秀な様だぞ?姫が元部下だと仰られただけはある。そら【千ノ雨】。』
「あぁっっ?!!!」
グレゴリという悪魔が聞いた事も無い魔法を発動させると同時に、魔力球から魔力が一斉に上空に飛んで行く
そしてそれと同時に極小の魔法弾が雨の様に降り注いできた
『主の攻撃には情緒の色が強すぎる。攻撃とはこうあるべきではないか?ほら【魔風】。』
アザゼルが魔法を発動させると同時に奴の持つ魔力球から風が一斉に吹き付けられる
「・・・っ!が・・・あぁぁっ!!」
その風に触れた瞬間、強烈な吐き気と悪寒が私に襲い掛かり戦闘中だというのに思わず一瞬ではあるが立ち止まってしまう
そしてそんな立ち止まった私は格好の的だったのだろう・・・
先程の極小の魔法弾が上空から襲い掛かり、私は被弾してしまった
『これこれ同胞よ。初手でそこまで摩耗してどうする?』
『そう言ってやるなアザゼル。同胞は我らと違い矮小なのだから優しく接してやらなければ、な。』
そう言いながら片膝を付く私の目の前で無造作に立ちながら談笑する
(あ・・・圧倒的ね・・・)
先程の主とは比べる間でも無く、圧倒的な強者
という事は【魔王】よりも圧倒的に強い存在だという事だ
その事実に私は再度絶望してしまった・・・
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