ロキフェルの愉悦と優劣
「さぁ、先ずは前回のおさらいからだよ。」
そう言って且つての従者・・・マリトナに口撃を仕掛ける
前回の彼女はこのスキルにより多対一を封殺する事が出来ずに僕に敗れた
予想通り、彼女は若干顔を顰めながら口を開く
けれどその言葉は僕の予想とは全く異なった言葉だった
「・・・主、仮面は外して頂けないのですか?」
前回に自分が敗北した悪魔を前にして関係無いとばかりに仮面を外せと言われるのは予想外だ
「そうだ、ね。君がこの悪魔達を倒す事が出来れば考えても良いかな?」
以前とはいえお兄さんと逢った時の僕くらいに強い悪魔が四体
言うなれば【魔王】が四人いるのと同様だ
それを彼女が容易に退けられるとは僕は思わない
「成程・・・では前回のおさらいも兼ねてその悪魔達からお相手しましょう。」
「ふふっ・・・少し楽しい、ね。」
僕がそう答えた事を皮切りに、悪魔達が一斉にマリトナへ襲い掛かる
だがそんな悪魔達が視界に入っていないかの様にマリトナは口を開く
「主、僭越ながらご忠言申し上げます。」
「・・・余裕だね。」
「えぇ、既に一体は駆逐出来ましたので。」
そう言ったと同時にマリトナとすれ違い様に顕現した悪魔の一体は首が刎ねられ消えていく
「っ?!!」
「練り上げていない連携は、飽くまで互いの行動を制限するモノでしか有りません。ましてや・・・一体を失うと穴だらけになるならば尚更です。」
そう言ったと同時に更に一体、同じ様に首を刎ねられて消えていった
「・・・驚いたよ。」
腐っても【魔王】に匹敵する強さを誇る悪魔を2体、瞬殺させる彼女は以前とは強さが桁違いだ
「例え主と同様の強さを誇ろうとも互いが互いを制限している以上、実力以上の強さを振りかざす事は出来ませんから。」
事もなげに答える彼女に残る2体が両脇から襲い掛かっていく
「また、この様に取り敢えず囲めば良いという短絡的な思考ほど相手からすれば読みやすい事この上ありません。」
そう言って攻撃を回避したと同時に一閃に残り2体の悪魔の首を刎ねて消失させていった
「主、この力を行使させるのであれば奴等にもっと連携を学ぶ様にご指示下さい。並みの【魔王】には通用しても並みを超えるモノには通用致しません。」
息一つ上がらず平然とそう言い放つ元部下を見て、確かに少し前の彼女とは違うと考え直すしかなかった
「・・・ご忠告有難う。それにしてもマリトナ、このわずかな期間で何があったの?明らかに動きが違うじゃないか?」
「それを滔々と語る気は御座いません。ですが・・・主を止めるという気持ちだけは少しも変化しておりません。」
甘い・・・
僕にそう言い放つ彼女は甘いと思わざるを得ない
止めるという事は僕を生かしたまま勝利するという事だろう
僕を殺したとしてもそれは止めると言えなくもないが、変化していないと言うのであれば彼女の性格上それはない
(いつだって・・・相手を思いやる奴ほど弱くなるもんだよね。)
それは自分の攻撃、実力にブレーキをかけてしまうから
ブレーキをかけない、いやそもそもブレーキを掛ける気が無いモノの方がいつだって強い
何故なら周りを省みないから何でも出来る
「そっか・・・じゃあ君が彼らに勝った褒美として、先ずは仮面を外す事とするよ。」
そう言いながら徐に仮面を外して決意する
僕の目的を達成する為に・・・この戦いはブレーキを掛けない
掛けてしまえば一気に持っていかれる、と
「・・・主、楽しいのですか?」
「・・・・・・そっか・・・・・・今僕は笑っているんだね?」
思考の渦に潜るあまり、素の感情が表に出ていたらしい
存外僕は・・・元部下との戦いを楽しんでいるらしかった・・・
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