クロノの会議と合意
「クロノ様、まずは首都に向かいましょう!!」
先程に忠誠を誓ってくれた獣人たちが、あれから中々椅子に座ろうとしてくれなかった…
居心地悪いし話し合いも出来ないからと説き伏せ、最終的に命令と言う単語を使いやっと座ってくれた
その直後のルーシャの発言がこれである
「確かに、この村内だけで王と認められても大多数は知らない状態ですからな。首都に上がり国内に向けて宣言するべきでしょう。」
グーガも頷きながら同意する
「でも、突然人族の身なりをした僕が首都に向かって簡単に認められるものなの?」
僕は浮かんできた疑問をそのまま問い質す
するとルーシャたちは微妙な表情を浮かべる
「クロノ様は人族の身なりとは言え、非常にお綺麗な顔をしており…その威厳と言いますか貫禄と言いますか…」
彼女が言いたい事は分かった
お世辞は飛ばしておいて、僕が強そうに見えないから他の獣人たちに舐められるという事だな
「つまり僕は仮面を付けて、ローブを纏っていれば良いんだね?」
「はい、それでその…今後も公的な場は勿論、普段もその恰好でお過ごし下さい。」
「え?!自分が【魔王】となっても不味いかな?」
自分がこの国の【魔王】となっても仮面を外せないという事に対して驚いて聞き返す
「はい。【魔王】様と言う者は強者である事も勿論なのですが、威厳、貫禄、畏れが必要です。それが無ければ他国だけでなく自国民にも卑下される可能性が御座います。また見かけが人族ですので要らぬトラブルの基にもなりますので…」
まぁそっか…見かけは人族だしね
厄介事はあるよりない方がいい
「分かったよ、それじゃあ、この状態になるのは私室のみにするよ。」
そう告げるとルーシャが凄く良い笑顔でお礼を言って来る
「じゃ、早速向かいたいんだけど、首都迄は此処からどれ位かかるの?」
「そうですな。荷馬車であれば2日もあれば可能でしょう。」
グーガが思案しながら答えてくれる
「うん、じゃあ今から準備して出来るだけ早く向かおうか!」
僕がそう告げると周りが慌てだす
「お、お待ちください!今から随行させて頂く人員と村に残る人員を選定致しますのでもう少し掛かるかと…」
ん?
何か僕が思っている事と彼らに相違がある…
「ん?皆で行けば良いんじゃないの?」
「ぜ、全員ですか?!」
「うん、さっきもあった様に人族からの襲撃があるこの村に老人と女子供、若干の獣人男性を置いて行けば万が一が起こってしまうかもしれない。それよりは全員で向かった方が、皆の安全も確保できるし家族にも早く会えるし良い事だらけだよね?」
そう告げると村長が難しい顔をする
「そのお気持ちは有難いのですが…そうなりますと首都に早く着くべき事態にも関わらず、日数が4日程度掛かってしまいますぞ…」
僕はルーシャの方へ視線を向ける
「ルーシャ、今から4日掛かるとこの国は滅ぶかな?」
ルーシャは少し思案した後に首を横に振る
「勿論確実ではありませんが、可能性は低いと考えます。現状、他国はこちらに侵略して来ておりますが、他国同士で牽制も行っております。その中で1つの国が突出してこちらに向かうと他の国がこちらに攻めてきた国を狙うでしょう…お互いがけん制しているからこそこの国がまだ属国になっていない現状がきっかけも無く変動するとは考えにくいです。」
その意見を聞いて頷き、周りへ視線を向ける
「聞いての通りだ。村の皆の安全も考えて全員で向かう事とする。但し、ルーシャも言っていた様に可能性は低いが0ではない。最低限の物を準備して直ぐに首都へ向かう事とする。」
「「はっっ!!」」
僕の宣言の基、獣人たちは急いで他の村民たちへ会議の内容を知らせ、直ぐに準備する様にと奔走を始めた
「クロノ様…」
フーっと息を吐き、椅子にもたれ掛かる僕にルーシャが話しかけてくる
「あの…村の皆の安全もお考え頂き、本当に有難う御座います。」
そういうと顔を俯かせてモジモジしだした
「いや、折角助かった命を、そんな事で散らせたくないという僕のエゴだから。」
僕がそう言って苦笑すると、どうやら彼女はボーっとしているみたいだ
「……やっぱり優しい。あ!私も皆に知らせてきますね!!」
そう言いながら彼女はバタバタと屋敷を出て行った
いつも有難う御座います!!!
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