イファンの終焉と終炎
「嘘だ噓だ噓だ噓だーーーーーーー!!!!」
私の最強魔法『神ノ兵』が左脇腹に魔法を被弾し体勢を崩しているのが目に映る
それを見て思わず叫んでしまうが、駒は私を意にも介さずそのまま先程の炎を纏った岩石を発動し機動力を奪っていった
「このぉ役立たずがぁ!!もう良いっ!アンタなんて要らない要らない要らない要らないっ!!!!」
私は脳が沸騰するかの様に思考がグチャグチャになってしまう
魔力の方は思った以上に回復は出来ていなかったが、最早それもどうでも良い
今、この場で、目の前の不快な駒を殺せば良いだけの話だ
この後に何が起ころうが、兎に角は目の前のアレを殺す事という激情にだけ身を任せてクロスジャッジを発動させた
「・・・それを待っていました。」
「何っ?!!もしかして負け惜しみ?!!」
「・・・いいえ。」
駒はそう言うと同時に左腕で魔法を発動させる
すると氷柱が無数に私の上空へ降り注いでくる
「確かに【神ノ盾】は厄介なスキルです。ですが、空洞箇所があるのならば無数の攻撃を上空から降り注げば良いだけです。」
「な、何で私のクロスジャッジよりも駒の魔法の方が発動が早いのっ?!!」
私の方が駒よりも確実にクロスジャッジを発動させるタイミングは早かった
にも拘らず駒からの攻撃の方が私よりも速いという事実に思わず狼狽える
「ご存知ないのですか?初級魔法、中級魔法、上級魔法と段位と共に威力が上がる反面、魔力を練る複雑さが増す為に発動時間も長くなるのですよ。私と貴女、初級魔法と超級魔法であるならば・・・ねぇ?」
そう言うと同時に無数の氷柱が既に私に被弾する直前まで迫っていた
「舐めるなあぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
刹那、【神ノ盾】の角度をほぼ無理矢理動かし被弾を免れ、ガキンガキンと氷柱が跡形もなく消滅していく
「ふ、ふふふ・・・正面にあった箇所を動かせば上空からの攻撃なんて目じゃないのよっ!!!たかだか【勇者】如き駒が私に勝とうなんて生涯無謀なのっ!!!!」
「・・・・・・」
「キャハッ、何も言えないの?!!!そうよねっ?!あれだけ自信満々にご講釈垂れて当てる事が出来ないなんて赤っ恥も良い所よねっ?!!!」
「・・・そうですね。」
勝利の余韻に浸って挑発する私に対して微笑みながら肯定してくる
その微笑みが・・・私に対して途轍もなく嫌な予感を湧き上がらせて来る
「確かに自信満々に講釈垂れ、相手の術中に嵌まっているなんて赤っ恥も良い所でしょうね。」
「・・・な、なによ。」
怖じ気つく私を無視し、駒は右腕を私の方へ徐に向ける
「な、なに・・・?や、止めて、止めてよぉぉぉーーーーー!!!!」
嫌な予感、致命的なミス、回避しようがない運命・・・
そんな言葉が脳裏を駆け巡る
あれは駄目だと本能が告げてくる
「・・・【天地獄タル終炎】」
「あ・・・熱っ!!!」
発動された瞬間、私の足元が泥濘の様に柔らかくなり、急激に熱くなっていく
いや、熱いどころの騒ぎではない
炎の水溜りが出現し、【神ノ盾】で守られていない箇所から私に対して襲い掛かって来る
「それはマグマと呼ばれる炎の水です。如何に貴女が守りに秀でているとは言え、無傷でいる事は有り得ませんよ。」
「あああぁぁぁっぁーーーーーーーー!!!熱い熱い熱い熱いーーーーーっ!!!」
防御力に秀でている筈の装備も意味を成さないかの様に溶解していく
このままではあと僅かで私の足も溶けていく
「ダメダメダメダメーーーーーーーーーーーー!!!!!」
咄嗟に上空を守らせていた【神ノ盾】を私の足元を守らせる様、無理矢理角度を変えていく
「ふーーー・・・ふーーーー・・・」
「・・・貴女の敗因は偶々得た称号にかまけ、他を見下して生きて来た事につきます。」
「っ?!!何を偉そ・・・」
そう言い返そうと駒の方へ視線を移すと・・・ボロボロで満身創痍な駒の姿が映る
いつの間にか私のジャッジメントクロスは駒に対して攻撃を与えていた様だ
だが・・・それよりも絶望的なモノが私の視界に入り込む
「それと・・・私の大切な友達を惑わし、利用し、望まぬ命を散らせた事ですね。・・・哀れだとは思いません。・・・さようなら。」
先程の炎を纏った岩・・・いやそれよりも遥かに巨大なモノが私に襲い掛かってきた
「噓だ噓だ噓・・・」
そして私は・・・・・・
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