イファンの決意と変意
「なっ?!!」
クロスジャッジを放ち続ける私に向かってタイミングを見計らいながら駒は一直線に突き進んでくる
「愚か者じゃないですかっ?!!」
私のクロスジャッジは攻撃対象を定めれば相手が動いて来たとしても追い掛けて攻撃してくる
如何に素早く動いたとしても逃れることは不可能だ
回避する事に専念するあまり其処まで頭が回っていないという事実に哀れみすら感じてしまう
だが・・・
「成程、【神ノ盾】の厚みは約50cmという事ですか・・・」
駒はそう言いながら丁度【神ノ盾】を隔てた真正面に立ちはだかってウォーターシールドを再度発動させていく
大方クロスジャッジによる光線を【神ノ盾】に当てる算段だろう
この程度の小賢しい策では【神ノ盾】を破る事は出来ない
「必死に知恵を絞ったみたいですが、【聖女】のスキルはこの程度では破れませんよ。」
「えぇそうでしょうね・・・残念ですが私の意図は其処では有りません。」
「ふざけた事を・・・はっ!!!」
私がそう言いながら気付いた瞬間にクロスジャッジが4方向から駒に向かって光線を射出され、私は考えるよりも先は思わず回避した
「フフフ・・・これで【神ノ盾】の守備範囲を完全に理解しました。」
駒は不敵に笑いながら私を挑発してくる
どうやらウォーターシールドを直前に発動したし、2方向からの光線を受ける事はなかった様で苛立ちが増す
「【聖女】さん、どうやら【神ノ盾】は完全な球体ではなく、扇形に四分の一刳りぬかれている様な特殊な形をしていますね?・・・だからこそ貴女は四方向から来る光線のうち、後方部分から私に目掛けて発射される光線を回避した・・・詰まる所後方部分からの攻撃は【神ノ盾】の守備範囲ではないという事です。」
「・・・・・・」
駒の分際で何を私に向かって講釈じみた事を宣っている・・・そう考えて苛立ってしまう
けれどこの思考は不味いと自分に言い聞かせ、少しでも冷静になる様に努めながら思考する
確かに【神ノ盾】は一部守備範囲に入っていない空間はある
だが・・・私の攻撃を受けながらも其処まで辿り着いた者は正直今まで存在しなかった
今思えばアースバレットで範囲を模索し、クロスジャッジで四方向から攻撃されるや否や私の方へ駆け寄り立体的な守備範囲まで絞り上げてきたのだろう
(認めましょう・・・目の前に居る【勇者】はただ寵愛を受けた駒風情では無く、あの御方からの試練として私を脅かせる敵。)
気持ちを切り替えて改めて目の前の【勇者】を倒す算段を再度積み上げる
私と彼女の共通点は魔法を得意とする遠距離タイプ
防御面では【神ノ盾】がある分、私の方が有利だ
けれど攻撃面では恐らく【勇者】の方が私よりも優れているだろう
(地属性と水属性、そして前回に火属性を使用していた分攻撃手段は彼女の方が上手、ね。それに加えて魔力の消費量は私の方が高い・・・)
体力的な事を加味するとほぼ互角と言ってもいいかもしれないが、防御、回復が得意であり攻撃手段が少ない聖属性では勝利への手札が多いとは言えない
(であれば・・・相手に遠距離攻撃を行わせずに確実に勝利する手段に切り替えましょう。)
魔法を使うにも魔力を込めなければならない
それを完全に封殺し、確実に倒していく
私は自分が行える中から勝利に1番近いであろう手札を切っていく事にした
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