イファンの光線と砲戦
「・・・本当に苛立つわね。」
誰に言う訳でも無くそう呟く
私の光線を相変わらずあらぬ方向に曲げながらアースバレットなんていう初級魔法で私に反撃してきた目の前の駒に苛立ちが隠せない
【聖女】固有スキルである【神ノ盾】は最強の防御力を誇るスキルだ
それを初級魔法を何十発、いや何百発撃った所で傷をつける事は出来ない
にも拘らず凝りもせずに惰性の様に撃ち込んでくる彼女に馬鹿馬鹿しさを感じる
(まぁ結局の所、私を倒す術が見当たらないという事でしょ?)
それはそうだろう
【勇者】と【聖女】では称号の格が違う
その分恩恵やスキルの効果が違うのも当然だ
私自身は身体能力が高い訳では無いが聖属性を扱い常時最強の防御スキルで守られている
聖属性はどんな属性に対しても弱点は無い為に自分を守り続けていれば負ける事は有り得ないのだから・・・
敗北は絶対にないという自信が私を冷静にさせ、私は別の手段に攻撃を切り替える
どの様な手段で私の攻撃を受けない様にしているのかは理解出来ないがキリがないという事だけは理解する
(私の攻撃が倍になれば流石に捌き切る事は出来ないでしょう・・・)
「クロスジャッジッッ!!」
クロスジャッジを発動させた瞬間、先程まで天井から直線に撃たれていた光線が2方向から斜めに駒に対して襲い掛かっていく
「っ?!!ウォーターシールド!!!」
すると先程まで攻撃してきた初級魔法をキャンセルし両手でウォーターシールドを発動させて私の攻撃を回避させていく
(素直に直撃されていれば良いものを・・・本当に面倒ですね。)
憎々しさと想定通りに行かない事に苛立ちを覚える
幾ら負けが無い勝負だとしてもあの御方が見ている以上は無様な姿は見せられない
だったら私がとる手段は・・・
「クロスジャッジッッ!!!」
私も両手に魔力を込めてクロスジャッジからの光線を倍にすれば良い、ただそれだけ
「なっ?!!ああぁーー!!!」
ほら、ただそれだけの事で駒は捌き切れずに直撃とはいかずとも私の攻撃を掠めて悲鳴を上げる
先程までの厚顔不遜、負け犬の遠吠え、身の程知らずな態度から一変させ苦痛の表情を浮かべる
「あらあら、あの御方にご指導を受けられた割には大した事が無いのですね。やはり駒は駒と言った所でしょうか?」
そう挑発しながらクロスジャッジを放ち続ける
直撃を受けて一気に致命傷を与えるか、少しずつダメージを蓄積して死んで逝くかのどちらかしかない
ましてや私は【神ノ盾】で守られている上に聖属性で攻撃を続けているのだから敗北する道理がない
そんな事を考えている間にも目の前の駒は必死に攻撃を捌きながらも確実にダメージを負っていく
近い未来、駒は死に絶えて私はあの御方に認められるのだという確固たる確信を感じていた
◇
◇
(これは・・・中々厄介ですね)
僅かでは有るが光線のダメージを受けながら焦燥感に駆られる
2方向からの光線であれば裁ける自信があった
ましてや相手の消費魔力と私の消費魔力に差異がある為にむしろ有利だとすら考えていた
だがそこに4方向からの攻撃による私の直接的なダメージを加味すると話は変わる
このまま攻撃を受け続ければこちらに傾いていた天秤はあっという間にあちらに傾くだろう
(となると・・・無謀な一手を撃ち込むしかないかしら)
【神ノ盾】の守備範囲を完全に把握していない現状で動き出すのは愚かしいと言わざるをえない・・・けれども両手が使えない現状を維持しても【聖女】の魔力消費が直ぐに尽きるとは思えない
頭の中でシュミレーションを行い、覚悟を決めて私は【聖女】が放った光線を受けた瞬間、ウォーターシールドを解除して一気に彼女に詰め寄った
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