イファンの狂気と勝機
なんなのあの小娘っ!!!
思わず殺気を所かまわず振りまいてしまう
私の為に鍛えられただけの存在の癖にあの御方の寵愛を一身に受けているかの様な素振りが鼻に付く
「私は優秀・・・だからこそあの御方は私を育てはしなかった・・・対してアレは無能・・・だからこそ育てられたのだ・・・」
そう自分に言い聞かせる
私の考えは間違ってはいないだろう
【聖女】である私に対抗するには【勇者】程度の称号は必須だ
【勇者】はレアな称号ではあるものの【聖女】程ではない
【聖女】の私に対する試練であれば最低【勇者】である必要があるだろう
あぁ・・・でも・・・
「羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい・・・」
無能であるからこそあの御方と共に過ごしていたと思うと羨ましい
いっそ私が無能であれば・・・そんな事を願わずにはいられない
「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい・・・」
羨ましく妬ましい・・・
有り得ない、有り得ないけれどあの御方の心のホンの僅かでもアレに移っていたと考えると気が狂いそうになる
「・・・あぁ、結局そうなのね。」
思考の海から1つの光が浮かび上がる
結局、目の前のアレを殺せば何の憂いも無いのだと気づいた
アレを殺せば私の試練だと証明できるし、あの御方も居なくなったアレを気に病むことも無い
であれば私のする事は最初から何一つ変わらない
(まぁ、より残酷に殺す事が出来れば最高だけれど、ね)
それは飽くまでも出来れば程度の願望
そっちに意識を向けて足元を掬われては意味がない
あれでもあの御方が私の為に鍛えた駒なのだ
決して楽観視して良い訳では無い
「さぁ、もう良いかな?じゃあ、始めっ!!」
私が考えをまとめた瞬間にあの御方の福音が鳴り響く
聞きほれたい所ではあるけれど、私は即座に臨戦態勢を取る
「ホーリージャッジッッ!!!」
相手の姿形、そしてロザンワという【勇者】である事実から照合すると彼女は【魔の勇者】という2つ名を持つ程に魔法が得意な【勇者】だ
であれば私との戦いは必然的に遠距離攻撃での応酬になる事は容易に想像できる
だから私は距離をとろうとするであろう彼女に向けて聖属性の魔法を撃ち込んだ
「ウォーターシールドッ!!!」
私の天上からの光線に対して水の盾で防ごうとする
「そんな水たまりで私の攻撃を回避できるとお思いですかっ?!!貴女はやっぱり駒ですねっ!!!」
私は勝利を確信してそう叫ぶ
事実、水の盾は火属性の攻撃には強さを誇るけれども耐久性は最弱である上に他の属性には突出を誇るものではない
けれども私の叫び声を聞いてもアレは涼しい顔をしてそのまま私の光線を水の盾で受けていく
「なんて呆気ない最期でしょう?!!あの御方の時間を無駄にした罪をそのまま償いなさいっ!!!・・・・・・え?」
勝利を確信した私の眼前には光線を現在進行形で受け続けて尚平然と立っている駒が居た
そして私の光線は駒の盾に当たると同時にあらぬ方向へ攻撃を続けていく
「やはり【聖女】という称号を得ていても馬鹿は馬鹿なのですね・・・」
その上で憎々しい駒は不遜な態度で私にそう言い放ったのだった
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