ロザンワの挑発と小勝
「あらら・・・私のお相手は【勇者】様ですか。」
「・・・えぇ、堕ちた【聖女】には勿体ない相手でしょ?」
目の前の【聖女】をそう挑発してみる
けれども彼女はお淑やかにフフフと微笑むだけで怒りの形相などを一切浮かべない
「堕ちた【聖女】、ですか・・・言葉としては悪くないですが私は何一つ堕ちては居りませんよ。」
「・・・本気で言っているの?人族の唯一の宗教での最高権力者である貴女がソッチ側に付いている時点で堕ちているでしょ?」
「いいえ。私が信じる神はあの御方だた1人です。あの御方が全てでありあの御方以外は塵芥以下である事は変わっておりません。」
そう言って【真祖】の方へ熱い視線を向ける
彼女は確か【狂信の道化】・・・【狂信】、か
「フフッ・・・」
思わず笑ってしまう
すると彼女の雰囲気が一瞬では有るが変化した
「・・・何が可笑しいのですか?」
「いえ・・・貴方の敬愛する方がこちら側についているのになぁと思っただけで他意は有りません。」
「あぁ、その程度の事ですか。あの御方は私に試練をお与えになっていらっしゃるのです。あの御方を敬愛しているにも拘らず、私とあの御方が敵対した場合の信仰をお試しになられているのです。」
「へぇ・・・」
人は何処まで都合の良い思考回路を持つ事が出来るのだろうか・・・
諦めにも似た単語を発してしまう
けれど彼女は段々と熱を持った様に言葉を続ける
「そうなのですっ!あの御方は私の信仰をお試しになられている、正に神の試練っ!!けれど神は私を信じたからこそこの様な試練をお与えになられたのですっ!!!」
「その試練の行く末はどの様になるのでしょうね。」
「決まっていますっ!貴女を始め【魔神連合】とか言う有象無象を焼き払い、そして人族魔族の区別なく浄火し、あの御方に跪いた時に私はあの御方の祝福を得る事が出来るのですっ!!!そしてあの御方の切望する進化を私達が始める事こそが私の信仰ですっ!!」
「ふぅ・・・」
何処か理論破綻を感じられるが【狂信】者に何を言っても無駄だろう
何故なら彼女は【狂信】だから・・・
「いいえ、貴女はあの御方からすればただの駒ですよ。」
だからこそ彼女を怒らせるには同じ土俵に上がらなければならない
彼女を激昂させ、あの鉄壁とも言える守る盾を私に対する攻撃に転じさせなければならない
「私はあの御方に修行を付けて頂き、鍛えられました。対して貴女にはただ希望をお伝えしただけ。それを比較すればどちらがあの御方に相応しいのか一目瞭然では?」
そう挑発した瞬間、ゴウゥーーーと凄まじい殺気が私に対して降り注ぐ
その殺気を浴びて成功したとほくそ笑んだ反面、背中に冷や汗が滴り落ちる
(予想通りの殺気であるものの・・・殺気が強すぎない?!)
伊達に【狂信】を名乗っているだけあると内心感心してしまう
その殺気には必ず私を殺すという断固たる意志が感じられた
「フフ・・・フフフフフ・・・面白い事を仰います。あの御方への信仰は私だけのもの、あの御方からの寵愛も私だけものです。貴方如きは私に対する試練の駒としての役割しかないのですよ?」
「・・・あら、その駒に対して鍛えて共に過ごして頂けるなんて慈悲深いにも程があるわね。数年も共に居て下さったのだから、ね。」
そう答えた瞬間、殺気がより強まっていく
どうやら彼女を挑発し、冷静さを削る策は成功したものの・・・悪魔の尻尾を踏んだのは私の様だった
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