クロノの指名と使命
「何はともあれ、カラミトルが無事で良かったよ。」
そう言いながら彼女を見つめる
息も絶え絶えで意識は辛うじて保っているという感じだけど・・・生きていて本当に良かったと思う
神獣たちも合体が解けたようで心配そうに彼女に寄り添っている
「クロノん・・・ごめんね。」
「何が?」
「・・・色々。」
そう言った彼女が僕に何を謝っているのかが理解出来ない
でも彼女が謝るのなら・・・
「気にしなくても良いよ・・・君は精一杯やってくれた。後は僕等に任せて休んでいて。」
そう言って仮面越しでは有るが微笑んで彼女が目を瞑るのを見届ける
(しかし・・・見事なまでに満身創痍だな。)
ルーシャ、カラミトルは辛うじて生きてはいるものの重傷である事に変わりはない
そして父さん・・・折角逢えたというのに父さんが死んでしまったという事実が僕に重くのしかかる
多分・・・僕はこの戦いが終わった後に父さんを思い出し泣いてしまうだろう
(でも今は・・・)
感情の制御が難しくても僕は【魔神連合】の長だ
無理やりにでも感情を抑え込まなければならないんだ
そう言い聞かせてダンキ、ファーニャ、ロザンワ、マリトナの方へ視線を向ける
「じゃあ次だけど・・・誰が出る?」
「主、そろそろ俺の出番じゃねぇですかい?」
「いえ旦那様、此処は私の出番かと。」
「・・・ロキフェル様が出るのであれば私が出ます。」
「皆さん、申し訳ないですが次は私にお譲りください。」
そう言って各々が答えてくる中、一考した後徐にロザンワが口を開く
皆が全員彼女の言葉を聞いて視線を彼女に移した
「正直この中では私が1番弱いと思います。相手に【剣神】や【魔王】、詳細が不明な不気味な存在が控えている今、弱い私が後を任せられても充分な成果を得る可能性は低いと思います。」
そう言って舞台の方へ視線を促されると【聖女】が既に陣取っている
つまり次の相手は【聖女】という事なのだろう
「【聖女】を舐めている訳では有りませんが、私が勝機を見込める可能性が1番高いのが彼女です。それに・・・」
「それに?」
「私も【勇者】として奴等には一泡吹かせたいですから。」
そう言った瞬間、彼女の魔力濃度は一層濃いくなった
多分、カラミトルが傷つくのを1番我慢していたのは彼女なのだろう
ダンキ達に視線を送ると仕方ないとでも言う様に黙って頷く
「分かったよ。じゃあ次はロザンワ、君にお願いする事にするよ。・・・但し条件を付けさせてもらう。」
「条件ですか?」
僕の条件という言葉に訝しそうな表情を浮かべる
これまで僕は送り出した仲間に条件を付与しなかったから怪訝な表情を浮かべられても仕方ない
「うん、条件だ。勝てとは言わないけれど・・・生きて戻って来てくれ。相反する行為なのは承知しているけれど、ね。」
死地に送り出すのに生きて戻って来いというのは矛盾以外のナニモノでもない
けれど彼女は僕の言葉を聞くと少しだけ微笑み、そして何も言わずに舞台に上がっていった・・・
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