カラミトルの懸念と疑念
「・・・おじちゃんが勝ったら?」
「応よ、お前が勝ったら俺は話を聞くんだろ?だったら俺が勝ったらどうすんだって話だ。当然の質問だろ?」
「うん、そっか、そうだよねっ!!」
確かにおじちゃんの言う通りだ
私だけがお願いをするのは変だと思ってすぐさま了承する
そんな私を見ておじちゃんはニヤリと悪そうな顔をするけれど、おじちゃんは変な事を言っていない
「じゃあおじちゃんは、おじちゃんが勝ったら私に何をして欲しいの?」
私がそう尋ねると少し思案し、徐に口を開く
「そうだな・・・じゃあ俺が勝てばお前さんは【勇者】を止めるってはどうだ?」
「【勇者】を止める?」
私の称号の事を言ってるのだろうか?
称号は止めようと思って止めれるものじゃないのは誰だって知っている事だけど・・・
「あぁ、お前さんが思っている事とは違うぞ。お前さんもどっかの国から【勇者】として認識されているだろ?それからすっぱり足を洗うんだ。国からの指名依頼も受けず、冒険者としても活動せずにただただ普通と言われる日々を過ごしていくんだ。」
意味が分からないと言った表情を浮かべていたのだろう
おじちゃんは【勇者】を止めるといった意味を説明してくれる
「存外公平な提案だと思うぞ。俺が敗けると俺は俺の信念を折ってカラミトル、お前さんの話を聞かなきゃならねぇ・・・だからこそお前さんはお前さんの信念、争いがない平和な世界を築く為の活動が出来ねぇ様になるって事だ。」
「・・・・・・」
私は【勇者】と呼ばれる事に対しては特に何も思わない
だけど、私がした事に対して皆に喜んでもらえる事は私も嬉しかった
(おじちゃんはそれを私に止めろって言っているの?)
私のお願いは其処までおじちゃんの気持ちを蔑ろにする様な提案だったのかな?
・・・でも言われた当人がそう言っているのならば、そうなんだろうな
「・・・絶対に敗けられないね。」
私はそう呟いてフラフラとした身体に思い切り魔力を纏いつかせる
血は止まったものの依然として傷は軽くないけれど・・・絶対に敗ける訳にはいかない
「それは了承したとみなすぜぇ?」
私が構えると同時におじちゃんはそう呟き、大剣を構える
おじちゃん自体もかなり限界が近いのだろう・・・
私と同様、フラフラとして先程よりも身体が大剣を捌き切れていない感じだ
攻撃力はほぼ同等だ
でも防御力や素早さは私の方がおじちゃんよりも高い
(遠くに居ればおじちゃんの攻撃の的になるし・・・私は近づいて戦う方が良いかな。)
ベベの炎や拳撃という遠距離手段も無い訳じゃないけれど・・・ベベの炎を発動させるとどうしても数瞬膠着してしまう
拳撃は連撃出来るけれど動きながらおじちゃんに当てる事は出来ない
それに・・・そもそも私自体魔力がそんなに高い訳じゃない
皆の魔力を借りて此処まで戦えているけれど、おじちゃんの魔力が高かったら限界の近い私に勝ち目はない
「じゃあ・・・おじちゃん、行くよぉ!!!」
私は近接戦に持ち込むためにそう言うと同時に一気に距離を詰めていく
おじちゃんの剣撃を警戒して少しスピードを落としながら近づいて行ったけれど、意外にもおじちゃんは私に対して剣撃を放つ事は無かった
ーーードゴォーーー
「ぐぬっ!!!」
私の左拳がおじちゃんのわき腹に直撃し、苦悶の言葉を吐きだす
けれどもおじちゃんはそのまま吹き飛ばされる事も無く、持っていた大剣で私の方に攻撃を仕掛けてきた
「あぶなっ?!!!」
何とかおじちゃんの剣撃を回避し、そのまま右腿に蹴りを繰り出す
「なんのっ!!!!」
にも拘らず、攻撃を受けながら私の方へ更に大剣で反撃を仕掛けて来る
(何か変・・・)
おじちゃんの攻撃を回避しながら私は更に攻撃を仕掛ける
私にはおじちゃんに対して疑問が膨れ上がってきた
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