カラミトルと凶悪な掌握
「・・・おじちゃん?」
拳骨を頭に叩き込んできたかと思えば、突然涙を浮かべながら笑い出す目の前の男に戸惑う
今の今まで戦っていた筈なのに・・・今の有様は隙だらけで攻撃を繰り出せば容易に倒せるという確信があった
でも・・・
「あー・・・笑ったぜ・・・そうか・・・お前さんを変に気をなっちまうのはそう言う事か・・・」
目の前で優し気な視線で私を見る彼を攻撃する気は起きない
そんな私の想いを知ってか知らずか、おっちゃんは少しだけ哀し気な表情を浮かべて吹っ切ったかの様な視線を私に向ける
「・・・おい、カラミトル。お前が一端の【勇者】なのは認めてやる・・・だからこそ、殺す気で俺に掛かって来い。」
「でも私はおじちゃんと「分かるだろう?此処はそう言う場なんだ。どうしても俺と話し合いたいのなら・・・力づくで俺を黙らせてみな。」
自分の言いたい事を言い終わると仕切り直しだと言わんばかりに私と距離を空けて構える
「【狂戒】さぁん・・・貴方はご自分が何をなさっているのか理解出来ていますかぁ?」
私に対して構えるおじちゃんに向かって顔色の悪い黒髪黒目の男がそう告げる
おじちゃんはその男を一瞥すると視線を再度私の方へ向き直す
「【狂戒】・・・聞いてるのか?」
「五月蠅ぇ・・・黙ってろ。」
尚も口を開く男に対して視線も向けずにおじちゃんは切って捨てる
その言葉を聞いた男はこめかみの血管が浮き出る程に怒りの表情えおしており所構わず殺気を拡散させている
「・・・【狂戒】、誰に何を言ってるの理解してるのか?」
「ふん・・・お前が誰で何であろうともこの戦いの邪魔は出来ねぇよ。何故ならお前さん達が崇拝する【真祖】様ってのがこの戦いを楽しんでるんだから、な。」
「・・・・・・きょう・・・かいぃぃぃぃぃ」
その言葉を聞いて怒りではちきれんばかりの表情を浮かべる男を余所におじちゃんは私に対して「仕切り直しだ。」と短く告げる
「おじちゃn・・・私はおじちゃんに勝つよ。勝って・・・ちゃんとお話しするんだっ!!」
「あぁ・・・そうなりゃ良いなぁ。」
おじちゃんがそう答えた瞬間、私は一気に距離を詰める
「っと!!」
それに合わせるかの様に大斧を私の拳と激突させようとするのを見て確信した
(やっぱりあの不思議な力はおじちゃんの大斧と関係あるんだっ!!)
私は大斧と激突する瞬間に拳を引き、跳躍して背後から攻撃を仕掛ける
「・・・ちぃっ!!!」
私の攻撃を読んだのか、おじちゃんは前方駆け、私との距離を空けて攻撃を回避してきた
「やっぱりその斧が私の攻撃を反射させてたんだね。」
「・・・あぁその通り、コイツが備えている属性は『風』だ。風をエンチャントさせて攻撃を流させるって代物だ。」
「・・・面倒」
「なぁに、初見殺しには大した代物だが見切られちゃあ使い道がねぇ武器だよ。」
そう言いながら大斧を放り捨てて大剣を構えてくる
「なにそれ・・・?」
思わず私はそう呟く
おじちゃんが抱えた大剣は鋸の様な刃が片面に備えられている
更に・・・柄が1つなのに対して剣身が3つあるという異質な剣だった
「・・・こいつは俺専用の特別性でな・・・表銘【刃群】、裏銘【覇軍】っつー厄介な代物だ。お前さんのステータスの前で中途半端な攻撃なんざキリがねぇからな・・・特別凶悪で特別厄介なもんでしょうぶしてやらぁ。」
そう言ったおじちゃんは先程の優し気な表情をしていたおじちゃんでは無く・・・
先程の黒髪黒目の男と遜色ない程、凶悪で猛獣の様な殺気を振りまいていた
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