カラミトルの咆哮と轟哮
「おいおい小娘、これしきで驚いて硬直するなんざ・・・実践経験が足りねぇなぁっっ!!!」
そう叫びながら再度斬撃を小娘に向かって飛ばしていく
俺の斬撃が自分に向かってきていると思ったのか、右方向へ飛びながら回避する
「やっぱ足りてねぇ・・・」
そう呟いた瞬間、回避した小娘の身体に俺の斬撃が当たり吹き飛んでいく
ぶっちゃけ殆どヤマ勘みたいなもんだったが、小娘は信じられないというかの様な表情を浮かべる
(まぁ右利きの奴は動揺すれば無意識的に右方向へ動くもんだが・・・綺麗に決まったな。)
小娘の表情を見ながら至極当然という様な、したり顔を必死に取り繕ってみるが上手く出来ている気がしねぇ・・・
俺は再び竜巻を発動させ、小娘の出方を窺う
(格下が格上に勝つにはこれが最良ってな・・・)
俺が攻撃を無作為に仕掛けた所で小娘は容易に回避し、反撃に繰り出してくるだろう
だからこそ攻撃させる
相手の攻撃のギリギリを見極め、回避出来ないタイミングで反撃を繰り出す
ちっと腰が引けた戦闘スタイルだが・・・これが小娘に対して殺さずに勝利する最善策だろう
(さぁ、拳でも炎でも仕掛けてきやがれ・・・全部反撃してやるよ。)
俺は大斧の柄を握りしめて気合を入れ直す
たった一発の被弾でも戦闘不能になる可能性が高い小娘の攻撃を喰らう訳にはいかねぇ・・・
そう思い小娘に視線を動かすと先程よりも一回り大きく濃密な魔力を練り上げている事が窺える
「おいおい・・・」
思わず頬が引き攣りながらそんな言葉を零してしまう
さっきの炎ですらかなりギリギリの状態で弾き返したのだ
あんな濃密な攻撃を逸らすだけならば未だしも、弾き返す事は絶対に出来ねぇ
「ううううぅぅぅ・・・【龍ノ轟哮】ーーーーーーーー!!!!」
小娘が放つ極大の炎は先程よりも強力に、しかも速度も素早く俺に襲い掛かって来る
「マジかよっ!!!」
大斧のエンチャントをタップリ付与して炎に向かって大斧を投げつける
それと同時に投げつける直前に創った場所へ一気に飛び込んでいった
ーーーードゴォォォーーーーーーーーーーーーーーンーーーー
激しい轟音が鳴り響き辺り一面に熱風が広がっていくのを一瞥しながら俺は生き延びる為に潜っていった
◇
◇
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
私は【龍ノ轟哮】を撃ち終えて肩で息をしながら少しずつ降下していく
「・・・ちょっとムキになり過ぎたかな。」
私の【龍ノ咆哮】を反射させるおじちゃんがコレで死ぬとは思っていない
私が思いもよらない方法で生き延びているだろう
「でも・・・無事って訳もないだろうから、ね。」
辺り一面に燻っている炎や炎傷痕を眺めながらそう口にしてしまう
こんな状況でも死んではいないだろうけど無事である筈も無い
おじちゃんは人族だから持って来ている回復薬を使えばまた元気になる筈だ
そんで・・・おじちゃんとお話してこっちに来てもらうんだ
あの人は悪い人じゃないって、私何処か確信している
だからこそちゃんとお話すれば分かってくれる筈だ
「さて、と・・・おじちゃんは何処で倒れているのかな?」
煙の所為で辺りが見渡しにくいが、早く見つけないと駄目だと思いながら動こうとしたその瞬間、ゴチンと頭に痛みが駆け巡る
「い・・・たぁぁぁーーーい!!!!」
思わず後ろを振り返ると、拳を握りしめて怒った表情をしたおじちゃんが立っていた
「この・・・馬鹿がっ!!!戦いたくない等とほざいた奴が放つ攻撃じゃねぇだろうがっ?!!」
私が若干恨めし気な視線を送るとそう言って責め立てる
「でも・・・おじちゃんだったら大丈夫だと思って・・・」
「大丈夫な訳あるかっ?!!かなりギリギリだったぞ!!」
「でも「でもじゃねぇっ!!!あぁもう・・・分かったよ!!理解したっ!完全に理解したっ!!!」」
私の反論を聞かずに目の前でおじちゃんは私を放って誰かに言っているかの様にがなり立てていた
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