ゴーガンの殺気の発揮
「・・・・・・」
「おいおい・・・」
あれだけ吹っ飛んだにも拘らず、重傷を負った様子もなく軽傷で立ち上がるとは予想だにしなかった
そりゃ【心技一体】とか言うスキルのお陰で全てのステータスが底上げされているのだろうが・・・それでもその程度で済むのは納得がいかない
「攻撃力、防御力、素早さ・・・どれもが俺よりも圧倒的に上か。全く、小娘の癖に手を焼かせてくれるなぁ・・・」
「・・・おじちゃん、今何やったの?」
どうやら小娘にとっちゃ自分が何故吹き飛ばされたのか理解出来ていない様だ
折角得たアドバンテージをほいほいと晒す様な馬鹿に見えるのかねぇ?
「そんな簡単に吐く訳ねぇだろうが。俺ぁお前さんよりもかなり弱いんだぜ?」
俺がそう回答すると同時に再度一気に攻めて来る
探りを入れて来るのは悪い手段じゃねぇが・・・同じ攻撃をそのまま再現してやる程お人好しではない
「アースニードルッッ!!!」
初級魔法だが、ほんの少しくらいは足止めになるだろうと予測し発動する
だが・・・小娘は俺の魔法で受けた傷を物ともせずにそのまま突っ込んできた
「小娘よぉ・・・そいつは愚策だぞ?」
幾らとるに足らない攻撃であっても完全な無傷は有り得ない
最近の餓鬼は蟻の一穴って事も知らないのかねぇ・・・
「アースマーシュッ!!!」
小娘の着地点を予測し、人の肩幅分くらいの沼を発動させる
此方の予測通りに若干体勢を崩し、そしてそのまま突っ込んできた
「猪突猛進が良いって訳でも無いんだぜっっ?!!!」
「っ?!!!」
タイミングを計りながら大斧を振りかざして、攻撃が十全に通っていない小娘に攻撃を繰り出す
すると小娘は攻撃を直前で防御へと切り替え、そのまま先程と同じ場所へ吹き飛んで行った・・・
「にも拘らず、相変わらず然程ダメージを受けている様子もねぇか・・・こりゃ骨が折れるぜ。」
小娘は渾身の一振りを受けたにも拘らず、先程と同様に無造作に立ち上がる
相手が猪突猛進に突っ込んでいくなら、俺は小技を駆使して翻弄させる
明らかに格上であろう相手に真正面から挑むなんざ愚の骨頂だ
「・・・ねぇ、おじちゃんは何であんな所に居るの?」
また同じ様な手で攻撃を仕掛けてくると予想していたが、それに反して小娘は俺に言葉を投げかけて来る
表情を見ると幾分か冷静になったのか、先程の怒りの形相が心なしかマシになっている様な気がする
「なんでってなぁ・・・まぁ、俺が選んだ事だ。」
「でもおじちゃんはきっと・・・好き好んであそこに居る訳じゃないよね?アカノンと同じで理由はあるんだよね?」
「・・・・・・」
理由なら・・・ある
息子を殺された恨み
国に裏切られた恨み
俺の人生を賭けていた家族と鍛冶を壊された恨み
勿論忘れる訳が無いし、忘れられる訳もない
一瞬、心の奥底で怒りのマグマが滾ろうとしだしたが・・・大きく息を吸って落ち着かせる
どの様な恨みが有ろうとも、その呪詛を目の前に居る小娘に吐きかけるのは絶対に違う
「・・・理由なら、あるさ。だがそれは俺に限らず誰もがそうだろ?小娘のお前さんが今俺の前に立ちはだかっているのと同様にな。」
「・・・私はおじちゃんが悪い人だと思えないの。前もそうだし今もそう、おじちゃんには殺気が無い。」
「・・・お前さんが強すぎて俺の殺気に気づかないだけだ。」
「ううん・・・私は小さい頃から殺気を浴びて生きて来たから・・・殺気を読み取るのだけは自信があるの。おじちゃんからは・・・殺気が無い。」
「・・・はぁーーー。」
そうまで断言されちゃやりにくい
殺気が無いと言われて理解出来ない訳じゃない
幾ら【勇者】とは言え小娘に殺気を浴びさせるのは億劫なもんだ
だが・・・
「お望みなら殺気でもって戦ってやるよ・・・」
俺はそう言って大斧を再度構えた
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