カラミトルの攻撃と連撃
「獣はね、自分や家族や仲間・・・大切なモノを守るために必要なだけの命を喰らうの。」
目の前の【魔王】は理解出来ないだろうけど・・・敢えて私はそう告げる
案の定、「何を言ってるんだ?」という様な表情で私を見つめる
「獣はね、命の尊さを人族よりも魔族よりも理解している。だからこそ不必要な弱者の命を刈ったりなんかしない。アンタの言っている言葉は自分に都合の良い部分だけを切り取った・・・暴言だぁ!!!」
ーーーードゴォォーーーーーーーーーーーーーーンーーーー
「ガファッッ!!!!」
私の渾身の攻撃を回避する事も出来ず、まともに喰らい血飛沫を回せる
私だって・・・本当は戦いたくないし殺したくもない
皆が仲良く平和で居られるならば私は戦う必要もなく、皆が笑顔で生きていられる
「・・・でも」
アカノンは泣いていた・・・
クロノんの顔は仮面で見えなかったけれど・・・きっと泣いている
私は仲間や大切なモノを傷つけたモノを許す事は出来ない
そしてそんな事実を知りながら自分自身は何もせずに生きていくなんて・・・きっと耐えられない
「それに・・・貴方達をこのまま生かしておくともっと沢山の人達が哀しむ。だからこそ今此処で私がっ!!!」
ーーーードゴォォーーーーーーーーーーーーーーンーーーー
「ガアァァァァァッッ!!!!」
多分、目の前の【魔王】は深刻なダメージを受けて身動きもまともに出来ないのだろう
私の攻撃に対して抵抗する素振りも無く、ただただダメージを受け続けている
「・・・げふっ!!!おいおいおい・・・お前のエゴで・・・また尊い命が失われるぜ?・・・お前さんは見知らぬ誰かが死んじまう事には・・・執着しないって・・・か?」
「・・・何も思わない訳じゃないよ。でも・・・私にとって大切なモノはそうじゃない。」
「ははっ・・・とんだ【勇者】様だなあぁぁぁ!!!!」
そう言って奇襲を仕掛けて来る【魔王】の攻撃を回避し、ひたすら左胸に拳を連打する
ーーードドドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーー
「お・・・ごおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
私の連撃を止める事が出来ず、拳撃で宙に浮かびながら血飛沫を巻き散らかす
だけどそれを見ても私は何も思わず・・・そんな相手に構う事無く攻撃を継続していく
ーーードドドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーー
「がっ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ーーードドドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーー
・・・ピシッ
【魔王】の胸を打ち貫く拳の感触に何かが崩れる手応えを感じた
自分の思惑が成功したと考えると同時に・・・急に呼吸がし辛くなってきた
(連撃をし続けた程度でこんなに身体が不調になる訳がない・・・。この【魔王】がなにかしたの?)
私の拳は急激に重く感じ、直ぐにでも膝を地につけたくなる
本音を言えば身体を動かす事さえもやめたくなる・・・でも
「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!」
ーーードドドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーー
「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!」
ーーードドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーー
拳を撃ち込む度に何かが少しずつ砕けていく感触が伝わる
この先にある私の勝利に向かって拳を振る続けた
「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
万感の思いを込めて拳を振り抜いたその瞬間・・・
・・・ピシ
・・・ピシピシピシ
ーーーパリィィィィィィーーーンーーー
「っっ?!!!」
【宝珠】が砕けたであろう音が響き、【魔王】は驚愕した表情を浮かべる
だが・・・そんな彼の表情を一瞥しただけで一心不乱に私は拳を振り下ろし続けた
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