カノンの最後と最期
「・・・・・・」
目の前の光景を見て嫌な意味で予想が当たる
私のスキルは無数の剣を顕現させる事が出来る
だが・・・その剣は決して神剣では無く、強力な魔剣でも無い
凡剣よりは優れている程度の剣だ
それ故に、目の前の【魔王】に襲い掛かる事によって多少の痛みはあるだろうが・・・痛みがある程度で致命傷を与える事は決してできない
「・・・ふんっ、どの様な策を講じて来たかと思えば鈍らで俺様が切れる訳無いだろうが?!俺様は神に成る存在だぞ?!!」
回避する訳でも無く、無数の剣を受け続けながら私に戻す
だが、私が待っていたのはその一瞬だった
ーーースパッーーー
「・・・あ?」
「・・・策を講じられ・・・策を破れば・・・どんな者でも油断する・・・。それが・・・格下ならば・・・猶更だ。」
「・・・あぁ?」
「先程・・・と、今との性格は・・・どちらが・・・ほん・・・しょうかは・・・知らん。興・・・みもない。」
「・・・ああああぁぁ????」
「だが・・・どちらにせよ・・・お前の・・・驕りは・・・消えなかった・・・時点で・・・この結果は・・・変わらない。」
「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー?!!!!!」
目の前の【魔王】は両目を斬られて・・・鮮血をまき散らしながら現状を理解出来ないでいる
奴の目には最早何も映っておらず、後は背後からにでもこの剣で一太刀浴びせる事が出来れば勝負は決する
「ぎざまきさまぁぎざばぁーーーーーーーーーーーー!!!!」
どんな強者でも今までの立ち位置から180度自分の立ち位置が変化すれば冷静ではいられない
奴は慢心があったが故に策にハマり、そして自分の身体で策を破ったからこそ私の斬撃を回避しきる事が出来なかった
頭部を一刀両断しようと試みたが、すんでの所で回避したのは流石とも言えるが・・・
「ただ・・・無念であるのは・・・残り一太刀が・・・届かない事か・・・」
身体中の全てが沸騰しているかの様に熱い・・・
まるで血液が逆流し、暴発していくかの様な錯覚に襲われる
(これは・・・錯覚・・・なのか?)
最早指一本として動かす事すら出来ない中、思考の定まらない頭が1つの仮定に行きつく
もし【魔王】のスキルが・・・血液なども含むあらゆる水分を自在に操るスキルだとすれば・・・
「・・・それは余りにも危険だ・・・な。」
そう呟くと同時に、自分の舌を噛み切って頭を働かせる
「力が・・・出ない状況でも・・・ははっ・・・舌は噛めるか。」
舌から流れて来る血液が・・・熱い
であれば私の仮定も間違ってはいない可能性が高い
「さて・・・我が・・・子・・・等の・・・為に・・・身体・・・よ、もってくれ・・・よ。」
指を動かすだけで激しい痛苦が襲い掛かって来る
最早息も殆ど出来ない
だが・・・もう死ぬと理解し、受け入れる事が出来たなら・・・痛苦等は障害には成り得ない
私はゆっくりと・・・けれども確実に目の前で未だ同様する【魔王】の首を狙い
首を・・・斬った・・・
「ああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
そんな断末魔を聞きながら・・・私は倒れ込む
ーーードスンーーー
倒れる前に見えたのは・・・娘の・・・泣き顔
倒れてから見えたのは・・・息子が・・・駆け寄ろうとしてくる所・・・
(最後の最期に・・・お前たちに何も言えない事は・・・ただ・・・無念だ・・・)
先程とは比にならない程の眠気が襲い掛かる
これが死と言うものなのだろう・・・
(だが・・・独りよがりだとしても・・・私は私を・・・生き・・・た)
もう視界も真っ白に見えて来る
今考えている事、見えている事が何かも理解出来ない
だが・・・
(・・・お前たち・・・も・・・じ・・・)
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
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