ポセイランの策と柵
「・・・父さんを知っているのか?」
【狂悦】の思わぬ言葉に私は驚いて視線を向けて質問する
父さんは【狂戒】に刺された時にはその様な事は少しも言わなかった
だが、今の彼の言葉はまるで昔から知っているかの様な含みのある言い方だった
「えぇ・・・あちらさんは私の事を分からないかもしれませんがねぇ。ホンの10年と少し前に出逢っておりますよぉ。」
「・・・・・・」
「当時も人族にしては強い剣士でしたがねぇ・・・今の彼は身体の一部を失って尚、あの時よりも強くなっておりますよぉ。まぁ、それでも私達には敵いませんがねぇ?」
「・・・私達とは誰の事だ?」
恐らくクロノの事では無いだろう・・・
クロノはあの頃と変わらず今現在も弱いままだ
【狂謀】も今の防戦を見る限りは父さんの足元にも及ばない
「そりゃあ一杯いますよぉ?私もそうですし・・・【狂謀】さんもそうですよぉ?」
「・・・【狂謀】が?今見る限りはそうでもないが。」
「フフフ・・・アレで【狂謀】さんの手の内は晒され終えたとでもぉ?」
【狂悦】の含みのある嗤いにつられて私は2人の方へ視線を戻した
◇
◇
「やれやれ・・・さっさと死んでくれれば良かったのですが。」
目の前の人族剣士に対しての苛立った感情と共に哀れみの感情が出て来てしまう
まさか50程度のゾンビ兵を斬ったからと言って得意げにされるとは思っていなかった
(まぁ・・・ただの人族ならば先程のゾンビ兵に殺されているでしょうから、警戒度数は多少上げる必要が有りますね。)
私がそう考えると同時に、斬られたゾンビ兵達はムクリと立ち上がる
「・・・っ?!!」
それを見た人族剣士の心に僅かに動揺が走る
どうやら今まではゾンビ兵と対峙した経験が無いという事か・・・
これも貴重な情報だ・・・
そしてゾンビ兵達は立ち上がったと同時に魔法隊は詠唱を再度開始し、遊撃隊は中距離で攻撃を仕掛ける
「フフフ・・・ゾンビと戦った経験はおありでは無いですか?」
「・・・初めての経験だ。斬ったモノが生き返るとは・・・何とも厄介だ。」
「でしょう?それにこれらは斬られても斬られても生き返りますよ。貴方の疲労がピークを訪れる方が確実に早いでしょうね。」
今度は重戦士達は隙間をあけない様に人族剣士に一斉に襲い掛かる
そして上空から矢で遊撃隊が人族剣士を牽制していく
「ぬっ!!」
数十を超える矢を斬り捨てながらも、目の前の重戦士も斬り伏せていくが・・・斬られた重戦士も次々と復活し、こちらの方へ向かって来る隙がないのだろう
「魔法隊っ!!」
「くっ!!」
私が指示をした瞬間、奴の足元にアースニードルが一斉に突きあがって来る
残念ながら回避されたいたいだが、宙に浮けば片脚の剣士等は恐れるに足らない
奴目掛けて矢と魔法弾が一斉に襲い掛かっていく
「どうやら詰んだ様ですねっ!!!」
「・・・未だそうでもない。」
そう言って、何処からか顕現させた剣に乗って襲い掛かって来る
「・・・飛刃斬」
そして飛ぶ斬撃でこちらに襲い掛かって来る
私は間一髪回避する事に成功したが・・・魔法隊は再度斬撃に晒されてしまう
「厄介な距離は詰めたぞ?」
そしてそのまま私の眼前に現れると同時に剣で私に対して斬りかかって来る
「ひ、人族うぅっぅぅぅーーーーーーーー!!!!」
憎しみを込めて叫ぶ私を一瞥し、何の容赦もなく私を斬り伏せた
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