ポセイランの敬意と経緯
「君の陣営から出て来る彼は何者だい?」
「はい、彼は【狂謀ノ道化】・・・【海皇国家ポセイドニス】の【魔王】に座していた者です。」
そう答えながらも身体中に喜びが満ち溢れる
この御方から話しかけて頂けるなんて本当に久しぶりだ
思えばあの無能と絡みだしてからこの御方は私にも目を向けて下さる様になった・・・
それまでは私たちの報告を黙って聞き、言葉を発しても一文字で終わる様な言葉だった
あの時はそれでも至上の喜びを受け、感動に満ち溢れてはいた
けれど今の様にお言葉をかけて頂き、意識を向けて頂いている今を味わってしまうと・・・もうあの頃には戻れない
(あの無能のお陰だと思うのは癪だけれど・・・そのお陰で今があると思えば苛立ちは薄れるわね。)
勿論薄れるだけで消える事は決してないけれど・・・と自分に対して呟く
それにしてもと戦場に視線を向ける
あの時も驚いたけれど、まさか出逢えるとは思わなかった
今であれば容易に屠る事は出来るだろうが、今の私にはあの頃の屈辱はもう無い
些末な事に目を向けて大きな目標を不意にすること等許せはしない
「さて・・・そろそろ始まる様だね。魔族領の【魔王】、人族領の剣の使い手か。肩書だけを聞けば勝負にならない様な組み合わせだけれどね。」
「恐らく一方的では無いかと。・・・退屈させる様な形となり恐縮では御座いますが。」
「まぁそれも醍醐味だよね。順当の結果といくのか、はたまたひっくり返るのか・・・」
そう言って私たちは戦場に注目をし始めた
◇
◇
「脆弱な人族のご老体、お初にお目にかかります。【狂謀ノ道化】の名を冠する【魔王】ポセイランと申します。」
「・・・・・・」
「ご老体は素晴らしい技を持ち、素晴らしい武器をお持ちだ・・・強者と言っても差し支えないでしょうね。・・・人族にしてはという言葉は続きますが。」
「・・・・・・」
私が軽く挑発しても、この人族は瞳を閉じ聞き流す
成程・・・この態度に【狂滅】は憤慨したのかと納得する
奴の様な単細胞の考え無し、戦闘にしか存在意義を見出せない低能な【魔王】には有効な戦術ではあるだろうが・・・如何せん、私には通用しない
「申し上げておきますが、ご老体が【狂滅】に勝てたのは既に虫の息であった【魔王】であった為です。そこのところをお忘れなきよう・・・」
「・・・君は」
「は?」
「君は虫の挑発に耳を傾けるかね?」
「・・・は?」
「分からんか・・・思った程賢しくは無いらしい。」
そう呟かれた瞬間に頭が沸騰しかける
成程成程・・・話術の腕は中々のものだ
【魔王】相手に堂々と挑発してきた愚か者に敬意を評して一気に殺してやろう
嬲ってやるのも面白くはあるが・・・愚かな死に方をした父を見る子供たちの絶望的な表情を早く拝みたい
そう考えて敢えて距離をあける様に動く
「では三戦目を始めようか・・・」
私が敢えて距離をあけると同時に【真祖】の声で宣言される
片脚が義足である人族等、距離をあければ脅威などは微塵も感じない
「さぁ・・・出てきなさいっ!!私の忠実なる下僕たちよっ!!!!」
私は一気に魔力を開放し、早々に決着をつけるべく固有スキルを発動せる
その瞬間、50もの私の忠実なる下僕・・・アンデット兵団が顕現される
「・・・これは」
どうやら私の能力を見て怖気づいてしまったらしい
目の前の軍隊を目を見開いて見つめている
「驚いたでしょう?!!これは私の固有スキル【百鬼夜行】ですよっ!!!幾十もの忠実な下僕を顕現させて襲い掛からせる最強の軍隊ですっ!!数は力!!力は数を具現化させた最強のスキルですよ?!!」
私は目の前で呆然とする人族のそう言い放った
だが・・・
「・・・は?」
その数秒後に見たのは・・・一気に斬り伏せられる10の下僕の姿だった
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