カノンの決着と傑作
第二戦目が始まると同時に距離をあける
相手は獣人族だ
身体能力や物理攻撃、耐性に秀でた種族ならば中距離で攻撃仕掛けた方が良いだろう
「くくっ・・・大口を叩いた割には臆病風に吹かれたか。」
「・・・・・・」
「人族など愚娘にも劣る脆弱な種族・・・我に勝てる道理等は何一つとして無いわっ!!!」
「・・・お前は。」
相手の挑発に反応するとはまだまだ修行が足りないな・・・と内心ボヤキながらも口を開き言葉を続ける
「お前は自分の娘を必要以上にこき下ろすが・・・私から見るとお前の方がよっぽど愚かだがな。」
「・・・っ!!死ねえぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーー!!!!」
私がそう言った瞬間、一気に距離を詰めて襲い掛かって来る
流石獣人族の【魔王】と驚嘆に値する素早さではあるが・・・
ーーーーースパンーーーーー
「・・・覚えておくと良い、子供が親を教師とするか反面教師とするかはその子次第だ。そう言う意味ではお前の子供は・・・優秀だよ。」
「・・・なっ」
相手の攻撃に合わせて首と胴を分断させたにも拘らず、首の方から声が漏れ出る
斬られても生きているのは流石魔族と言った所か・・・
「それに・・・親は見捨てないからこそ親足り得るのだ。見捨て、剰え殺そうとした者が娘呼ばわりするのは傲慢でしかないぞ?」
そう告げ、相手の言葉を聞く間も無く首より上を乱斬りし、ついでとばかりに胴の部分も乱斬りし続ける
一通り斬り終え、最早原型が残っていない状況になってから誰に言うでも無く・・・思わず自虐的な言葉が漏れ出てしまう
「まぁ・・・私も他人の事は言えないがな。」
◇
◇
「勝負あり、だね。」
王座から腰掛けながら私はそう宣言する
今の一戦は中々に見ごたえがあったなと満足する
「それにしても・・・そうか・・・彼か・・・。」
クロノ君とアカノ君の父であり師である男の剣技は目を見張るものがあった
だがそれ以上に想像だにしなかった再会に心躍る
私が彼の脚を奪ってからそんなに時が経ったのかと過去に思いを馳せる
「あの頃よりも静かに・・・けれども強くなったんだね、名も知らなかった剣士さん。」
そう考えれば因果なモノだ
彼とは対峙し、息子は生き返らせて私が臣下となり、娘は鍛えて敵対する・・・
私の長い歴史の中でも此処までドラマチックな系譜は今まで出会った事が無い
(いや・・・違う意味で厄介な系譜には出逢っているな・・・)
そう思いながら彼と彼女へ視線を移す
全く親御様はこの世界で何処まで厄介な因果を結び付けるのだろう・・・
そう辟易する自分と同じ位に掘り出せばもっと面白いモノがあるのだろうかとワクワクする自分が確かに其処に居た
ここまで互いに一勝一敗
勝ち抜き戦である以上、クロノ君たちの父君は連戦となるだろう
(次に【狂笑道化団】側の誰が名乗り出るかで勝負の流れは傾くかな?)
クロノ君たちの父君は万全な体調では無い
どれ位の間仮死状態だったかは知らないが、ごく最近の事だろう
けれど・・・彼の持つ剣は無視できない武器だ
(あれは神剣・・・いや神刀と言っても差支えの無い刀だね。あのレベルの刀を創る事が出来る鍛冶師なんて世界に1人居るかも怪しいレベルだけれどね・・・)
そう思いながら心当たりのある鍛冶師の方へ視線を移す
案の定、先程に仲間たちから攻められていた鍛冶師は再度仲間たちに囲まれていた・・・
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