カノンと絶命の説明
「さて・・・先程の一戦に審議を付ける程、こちらは狭量じゃない。そちらもこのカノン=エンドロールが参戦するのを拒否する程、狭量じゃないよね?」
僕はそうやって軽く挑発する
先程の一戦はかなり勿体ないが・・・落ち度はルーシャにある
相手は死んでも居なければ敗北の宣言もしていない
にも拘らず相手に背を向け気が緩んだ
実戦経験の少なさが露呈してまった様な形だが・・・それは仕方無い
それよりは父さんの参戦をはぐらかされてしまう方が面倒だと考えそう告げる
「・・・あぁ、勿論こちらとしても問題無いよ。これで対等になった訳だからね。最早言い訳は効かないよ?」
「言い訳?そちらの策が無駄骨になって悔しいのは分かるけれどもこちらに当たらないで貰えるかな?」
目の前のクロノ・・・いや、僕の姿を模したヴァリアだろう人物を睨みながら挑発する
そうすると目の前の僕はあからさまに不機嫌な表情を浮かべる
その表情を見て僕の姿に模しているのはヴァリアだろうとほぼ確信する
(ヴァリアは挑発に耐性が無かったからなぁ・・・)
彼女がどうやって僕の姿を模しているかは分からない
けれど・・・僕の姿で有り続けている理由は恐らく姉さんだろう
勝手に僕の姿を模して、姉さんを操っているであろう彼女に怒りがこみ上げる
けれど・・・今この瞬間にヴァリアを倒したとしても・・・姉さんはまた狂うだろう
それこそ取り返しがつかない位に狂っても何らおかしくは無い
(だったら・・・段取りを踏んで姉さんに正気に戻ってもらうしかないか。)
やる事は何一つ変わらない
ただ順番が変わるだけだ
気持ちを切り替えて僕はクロノ・・・ヴァリア?に声を掛ける
「で、そっちの【狂滅ノ道化】は棄権するの?見た所満身創痍という様な感じだけど・・・」
「ふんっ、彼をそこらの兵と一緒にしないでくれないか?彼は【魔王】であり【勇者】の魔法も使える暴力の申し子だ。あの程度の傷なんて大したことない。」
クロノがそう言うと先ほどの【狂滅ノ道化】は既に怒り心頭という様な表情を浮かべて前に立つ
決して傷は浅くないだろうに、闘争本能で動いているかの様な状態だ
優れた万全の兵士よりも平凡な死兵の方が時には厄介に感じる事象を体現しているかの様だった
「・・・そこの人族、出てこい。誰の前に立ったのかを思い知らせてやる。」
「・・・・・・」
そう言って【狂滅ノ道化】から指名された父さんは・・・彼の言葉を無視して意識朦朧としたルーシャの傍に近づき、腰を落とした彼女に話しかける
「・・・お嬢さん、アレが貴女の父君だという事は知っている。そして・・・父君に臣民を殺されているという事も。その上で尋ねるが、アレを絶命させても良いかね?」
「このっ!!!」
父さんの言葉に【狂滅ノ道化】は怒りを露わにするが、それを歯牙にもかけずにルーシャに語り掛ける
父さんの言葉を聞いたルーシャは意識朦朧としながらも言葉の意味が理解できたらしい・・・暫しの間何の反応も示さなかったが、父さんの目を見つめながら微かに頷いた
それを見た瞬間、父さんは立ち上がり【狂滅ノ道化】へと近づいて行く
「・・・我を絶命させると囀ったか?」
「・・・・・・。」
「うぬは知らぬだろうが・・・我は【魔王】であり【勇者】っ!!人族と魔族の最強の称号を冠する最凶足る存在だっ!!!何処の馬の骨とも知らぬ矮小な人族如きに負けはせんっ!!!愚娘に受けた我の屈辱を貴様で晴らしてくれるわっ!!!」
「・・・本当によく吠える。」
「・・・なんだと?」
「弱い犬程よく吠える・・・その様な言葉を聞いた事があるが・・・正に真理だな。」
「貴様ぁ・・・」
そう言って互いに殺気を漲らせて対峙したと同時にブロウドさんが言葉を口にする
「では・・・そろそろ始めようか。第二戦目始めて良いよ。」
ブロウドさんの軽い合図とともに第二戦目が開始された
いつも有難う御座います!!
「面白い&期待している」という方は★&ブックマークを是非ともお願い致します!!
ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!