サンドラの憤怒と奮闘
「がぎゃあぁぁーーーーーーーーーーー!!!!!」
胸部に短刀を突き付けられた痛みで思わず叫ぶ
苦し紛れに拳を愚娘に突き出すも容易に回避されて距離をあけられる
(何だこれは・・・我が何故【豪商】等という脆弱な称号である愚娘に・・・)
身体の節々には斬り傷を付けられ血を流しただけでも許しがたい
それに加えて我の胸部に愚娘が刃を突き立てる等・・・最早死ですら救い難い大罪だ
「このぉ・・・愚か者がっ!!!」
「・・・愚か者はどちらでしょうか?」
「何だとぉぉ?!!」
「貴方はこの期に及んでも私への先入観を捨てる事が出来ていません・・・それが貴方の敗因です。」
愚娘の言葉に頭がカッとする
敗因?敗因だと?誰が?我が?誰に?愚娘に?
「敗因と抜かすかこの痴れ者がっっ!!!!!」
「ふぅ・・・先入観の話をしているのに敗因という言葉に噛みつくとはつくづく愚かですね。」
先入観?愚娘が多少動ける愚娘になっただけだろうがっ?!!
頭が沸騰する様な怒りのままに、一気に距離を詰めて近接戦へと持ち込んでいく
「ぐぬぬぅぅぅぅぅーーーーーー!!!!!」
だが我の攻撃のどれも余裕を持った表情で回避してくる
それがまた我の苛立ちを増幅させていく
「があぁ!!!」
ただ回避してくるだけではなく、要所要所に我に斬り傷を増やしていくのが屈辱的に感じる
我の素早さが若干落ちているとは言っても、それは愚娘も同じの筈だ
なんせ愚娘は肩と脚に魔法を貫通させているのだ
(何故・・・何故だっ?!!)
どう考えても有り得ない
機動力、攻撃力のどちらも大幅に落ちている筈だ
身体強化を施していたとしても・・・それらを全て無かった事にできる筈がない
攻撃の合間に愚娘の挙動を観察するが・・・傷をカバーしているという事も無く
どちらかと言えば先程よりも素早く、攻撃力も上がっている
「ふふっ、無い頭で考えている様ですね?」
「・・・何?」
「やっと何故私が先程よりも素早いかに疑問をもちだしたのでしょう?」
「ぐっ・・・!!!」
我は純粋な接近戦ならば【狂笑道化団】の中でも群を抜いていると思っている
にも拘らず、それについて来ている愚娘に対し疑問を感じない筈がない
「愚娘・・・貴様・・・我に何をした?」
「貴方に・・・?フフフ・・・貴方には何もしておりませんよ。」
「囀るなっ!!我に何かをしなければ【豪商】である貴様を強く感じる事など無いっ!!!」
そう叫ぶも微笑むだけで何も答えない
くそっ!!動く度に血が吹き出し、少しずつ力や魔力が抜けていく様に感じる
「がっっ!!!!」
側頭部に強烈な衝撃を与えられて思わず吹き飛ぶ
上半身を持ち上げ、愚娘を見ると余裕を持ったかの様な表情で我を見つめる
「貴様ぁ・・・愚娘の分際で我をその様な目で見るなっっ!!!!」
「今だに理解出来ない貴方を心底見損なってしまいます。貴方が弱くなったのではなく・・・私が強くなったのですよ?」
「ふざけるなっ!!!【豪商】が如何に強くなろうが・・・【魔王】である我に勝てる道理は無いわっ!!」
そう叫ぶと冷静な口調で我を諭すかの様に説明を始める
愚娘に諭され、接近戦でも不利を強いられ、弄ばれる・・・
そんな事実がより一層、我を冷静にさせないでいる
「ご存知ありませんか?稀にですが【魔王】が存命する国でも新たな【魔王】が稀に現れるという事を。」
「っっ!!!」
「本来【獣王国】の【魔王】は貴方・・・そこに【魔神】様が偶々訪れて統治して頂けただけ。であれば生き返ったとしても、死んだ貴方の代わりに新たな【魔王】が誕生しても・・・可笑しくありませんよね?」
「・・・・・・」
愚娘の言葉に愕然とする
小難しい事は理解する気は無い
だが・・・コイツは・・・目の前の愚娘は・・・
「愚娘・・・貴様が新たな・・・【魔王】だというのか?」
「えぇ・・・私が新たな【魔王】です。【豪商】でありながらも【魔王】の称号を得た・・・貴方の相対者です。」
ハッキリとそう告げて来た
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