クロノの前哨の先勝
「【魔神連合】の皆様、ようこそ。」
そう言って城門を潜り、謁見の間に入った僕等を出迎えたのは【狂笑道化団】の面々・・・
そして僕等に声を掛けてきたのは王座から立ち上がり、役者の様に両手を広げながら得意げな表情を浮かべる・・・僕とそっくりの顔をした『クロノ=エンドロール擬き』だった
僕はその声に呼応する事無く、他の面々を見渡す
サイクスと・・・あれが【聖女】かな?ロキフェルに・・・知らない面々もいる
そして・・・
(姉さん・・・。)
姉さんは確固たる表情を浮かべて僕等を見据える
あの時の動揺し、壊れかけていた様な表情を浮かべていた姉さんとは似ても似つかない
多分・・・僕等を完全に敵と見做したからこその表情だろう
(結局・・・僕と姉さんは戦う宿命だったのかもしれないな・・・)
俯瞰的と言うか、諦観的というか・・・正直僕はもう色々と諦めている
それでも諦めきれていないのはやはり姉さんだからなのだろう・・・
これは多分、理屈ではなく感情なのだろう
そんな事を考えているとサイクスがおちょくるかの様な口調で口を開く
「おやぁ?おやおやおやぁ~?そちらさんはお1人様数が少ないですがぁ・・・余裕の表れなのでしょうかねぇ?」
「・・・どういう事ですか?貴方が8名で来いと仰ったと思うのですが?」
ルーシャの言葉に可笑しそうに嘲りながら「いえいえいえぇ~」と言いながら言葉を続ける
「私如きが【真祖】様を数合わせの様な事をする訳ないじゃないですかぁ?」
「・・・ふざけないで下さい。貴方は確かに【魔神】様と【真祖】様を除いた残り6名だと仰いました。」
「・・・証拠でもあるのか?」
ルーシャの言葉にサイクスは真顔で返答してくる
突然の殺気に当てられ、何名かは身を構えだす
「そもそもお前さんが言っている事に対して証拠は何1つ無い。・・・仮に言ったとしても【真祖】様にご歓談頂くという言葉を覚えていれば文脈から可笑しいという事位は理解できるだろうが?」
「・・・・・・。」
「どうしてもご不満という事でしたらご退出頂いても結構ですよぉ?その時は私達の不戦勝とはさせて頂きますがねぇ?」
「・・・【魔神】様。」
悔し気な表情を浮かべながら僕の様子を窺う彼女に落ち着けとジャスチャーする
確かに・・・1人足りないのは致命的ではある
だが今は・・・
「・・・その様な些事で気に病むことは無いよ。要はその程度の策でも労しなければ勝てないと判断したという証左なんだからね。」
僕がそう言った瞬間、相手側の殺気がより濃密に広がる
「・・・あらあら。」
「貴様・・・我を愚弄するか?」
「言ってくれますねぇ~。」
「フフ・・・流石に今のはカチンと来たかな?」
そんな彼らの殺気も今は心地いい
相手を冷静に判断させない様にするという事は基本中の基本だ
労せず策を講じ、思いの外上手く言った事に内心喜びを覚えた
「ほら、ね。結局事実だから怒る事しか出来ない。これこそがアイツが言った証拠というヤツだよ。」
「「「貴様っっ!!!!」」」
そう言った何人かが僕に対して飛び掛かろうとする
けれど僕の後方から聞こえる笑い声により、実際に襲われる事は無かった
「ハハハハハハハッ!!中々に愉快だっ!流石は【魔神】様、ユーモアのセンスは一流だねっ!!」
ブロウドさんの笑い声が木霊し、【狂笑道化団】の面々も流石に動けないのだろう
彼らが信仰するブロウドさんが認めたのだから襲い掛かる訳にはいかないという所かな?
相手の顔を見ると忌々しそうに僕を睨みつけていた
「さて・・・僕等は招待状を貰って此処に来たんだ。大層なもてなしがあるんだろう?」
「あぁ・・・それはそれは泣き叫ぶ程の趣向を用意しているよ。」
僕の挑発に擬きはニヤリと嗤いながらそう答えて来た
いつも有難う御座います!!
遂に最大の山場へ到達しました!!!
永かった様な短かった様な・・・
是非ともお付き合い下さいませ!!
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