アカノの傀儡と開催
クロノの間違いを正す・・・そう宣言した私に対してロザンワはクスクスと笑う
・・・何か可笑しなことを言っただろうか?と首を傾げると彼女は笑いながら口を開く
「クス・・・ごめんなさい。決して馬鹿にした訳じゃないの・・・でも安心して。貴女がクロノ君を説得する必要はないわ。」
「・・・え?」
クロノはもう手遅れだとでも言うつもりなのだろうか?
すこしばかり暗い表情を浮かべたのだろうか?
ロザンワは慌てたかの様な表情を浮かべて否定する
「悪い意味じゃないわっ!クロ・・・アカノさん?!!」
ロザンワが何かを告げ様とした瞬間、私の身体に急に魔力を纏い出す
「これ・・・は?」
私の意志とは無関係に唐突に魔力が高まる不安感が湧き上がる
「クスクスクス・・・」
そしてそんな私を嗤うかの様に私の後方から笑い声が聞こえた
急いで振り返ろうにも・・・何故か身体が動かない
「クスクス・・・【狂炎】様、その様な【勇者】の甘言に惑わされてはいけませんよ?」
「その声・・・【狂信】?!!」
先程に後方で王城をどうにかすると言っていた【狂信】の声が聞こえる
眼前のロザンワは【狂信】を見て戦闘態勢を取っている
「【聖女】様、【狂笑道化団】の一員らしい姑息な真似をされるんですね?」
「クスクス・・・何を以って姑息と仰るかは理解出来ませんが、仲間の助太刀に来た事がそこまで不思議でしょうか?」
「・・・あら?助太刀にしては身体を動けなくされているみたいなのですけれど。」
「それに・・・王城は貴女の役割の筈です!!見た所、王城は健在ですのに助太刀とは?」
私達がそう告げるも表情を変えることなく、頷きながら口を開く
「えぇ・・・ちょうど今、準備が整いましたよ。アカノ様、目の前の【勇者】を打倒してください。」
「??何を・・・」
そう言った瞬間、頭がカッと熱くなりロザンワ目掛けて剣を引き抜く
そして斬撃を繰り出すも、彼女は一気に距離をとった
「・・・?!!きょ、【狂信】?!!」
「【聖女】様・・・貴女、何をしたの?」
私の意思とは関係無く動く身体に驚愕する私と、【狂信】の声に呼応して攻撃されたロザンワの警戒する声が彼女に投げかけられる
私達の声を向けられた当の本人はニコニコとした微笑みを絶やさない
それ所か、もの知らぬ幼子に諭すかの様な声色で言葉を紡ぐ
「何って・・・言ったでしょう?王城を破壊させる段取りが出来た、と。残念ながら【聖女】とは神のご加護によって『守る』力に特化した称号です。それ故に私如きでは逆立ちしてもあの王城を破壊する事は出来ません。」
「・・・それでアカノさんに何かしたと?」
ロザンワの口調に物悲し気に首を横に振る
「何かとは・・・その様な事は致しません。私は【聖女】です。【聖女】とは神のご意志を伝える所謂伝令役です。即ち私が行った事は神のご意志を伝達し『しんこう』させたに過ぎません。・・・さぁアカノ様、目の前の王城を破壊してください!!邪魔するのならば目の前の【勇者】も同様にっ!!!それこそが神のご意志です!!」
「嫌だっ!!!!!」
私がそう叫ぶものの・・・身体は勝手に動き出し、更に魔力を膨れ上がらせる
「アカノさんっ?!!!」
ロザンワはそう叫びながら私に対して魔法を撃ち込む
だが・・・魔法は私に当たる事無く、【狂信】の結界に弾かれる
「?!!・・・だったらっ!!!」
【聖女】に向かって魔法を撃ち込むが、私の時と同様に結界に遮断される
その間にも【赤炎】はエンチャントを付与し、王城に向かっての攻撃を高めていく
「や、止めろ止めろ止めろっ!!!!」
「【狂炎】様、何故拒むのですか?【狂乱】様のご指示も達成出来ますのに・・・?」
「わ、私はっ!!!私はクロノを止めるっ!!!」
そう叫ぶ私の表情を見て、暫しポカンとした表情を浮かべ・・・そして高らかに笑い出した
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