アカノと本懐の後悔
「アカノさん・・・私たちは・・・私とカラミトルはそんなに信用ならなかったですか?」
「・・・・・・。」
涙目で睨みつける彼女の視線に何も言えなくなってしまう
彼女達に何も言わず、クロノの事を最優先に選択した結果・・・私は彼女達と敵対する事になった
そしてあろう事か、前回は襲撃まで行っている
何を言っても言い訳にしか聞こえず、事実言い訳以外の何物でもない
「・・・確かに私達ではアカノさんを癒す事は出来なかったかもしれません。・・・本当の意味で悩みや絶望にも気付いてあげられなかったかもしれません。私は人族の繫がりに対して無関心ですし・・・カラミトルは神獣が家族ですから・・・そんな相談には・・・ちゃんとした答えを与える事が出来なかったでしょう。・・・でも」
「・・・・・・」
「でも・・・私たちは友達でしょう?!!!助けられなくても傍に居る事は出来ますっ!!!ちゃんとした答えをあげる事が出来なくても・・・傍に居る事位は出来ますっ!!!」
彼女の徐々に大きくなる声量が、余裕が無くなるかの様な声音が・・・心が直接叫んでいるかの様な慟哭が私の胸を抉る
「・・・・・・。」
彼女の言葉を聞いて何も言えない私
普段理性的な分、叫んで疲れたのか肩で息をするロザンワ
私からは何も言えないし、彼女も今言える事は無いのだろう・・・
暫しの沈黙が場を支配する
けれど・・・悪いのは間違いなく私だ
だったら私が謝罪の言葉を告げるのが筋だろう
言い辛くはあるが・・・口を開かなければ何も始まらない
「・・・ロザンワ、ごめん、なさい。」
ーーポロッーー
謝罪の言葉告げた瞬間、私の視界が水でくすむ
「ご・・・ごめん・・・なさぁい・・・」
感情は高揚し、思考が混濁化してくる
舌は上手く回らず、声は震える
「ごめん・・・ごめんねぇ・・・ごめんなさぁい・・・」
「・・・アカノさん。」
いつの間にか、私を捕縛していた手は消えていた様で・・・私は両手で目を抑える
哀しみでも絶望でも苦渋でも無い・・・何処か温かい気持ちが溢れ出て来て涙を止める事が出来ない
「ごべぇんなさぁい・・・ごべんなざぁい・・・」
いつから私はこんな気持ちを失くしていたのだろうか・・・
感謝の念と申し訳なさが入り混じり上手く感情を言い表す事が出来ない
彼女達と龍族の元に出向いた時、感謝の様な気持ちはあったかもしれない
けれど感情に楔が打ち込まれていたかの様に、今ほど感情が溢れ出て来る様な気持ちにはならなかった
良い友を得た感謝とそんな友を裏切る様な形になってしまった申し訳なさを胸に、暫し私の泣き声と嗚咽だけが聞こえる様になってしまっていた・・・
◇
◇
「・・・落ち着きましたか?」
ロザンワの言葉にコクリと頷く
泣き顔を見られた気まずさに視線を彼女と合わせる事が出来ない
「ロザンワ・・・その・・・本当にごめんなさい。」
「フフッ・・・えぇ、良いですよ。」
私の謝罪に彼女は微笑みながら受け入れてくれる
その言葉を聞いて幾分か胸のつかえが取れた気持ちになる
「それでアカノさん、今から私と戦うつもりは無いと思いますが・・・【狂笑道化団】からは足を洗うという認識で宜しいでしょうか?貴女が其処にまだ居るというのならば・・・残念ですが私は止めると言う立場で貴女と戦います。」
彼女の言葉に私は首を横に振り口を開く
「・・・その気は無いわ。でも、クロノを止める為に一度戻ろうとは思うの。・・・弟も辛い事が沢山あって今回の様な事をしでかしたんだと思うけれど、姉として・・・ね。」
私は盲目的にクロノを信じていたが、今回の件でそれが間違いだと気づけた
大切な人だろうが何だろうが、間違っている事は間違っていると伝えて・・・そしてそれでも寄り添う事が大事なのだと理解できた事は大きな収穫だった
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