クロノの道中と心中
Ⅳ章開幕です!!!
助けた魔族たちに連れられて荷馬車に乗っていた
「あの…クロノ様。」
僕と向かい合って座っている獣人の娘が話しかけてくる
彼女は狐の獣人だろうか?
耳が頭の上にあり、尻尾が生えている以外は人族とそう変わらない
年齢は僕と同じく位が少しだけ下に見える可愛らしい顔をした獣人だった
「先程は危ない所をお助け頂き本当に有難う御座います!!」
僕が仮面越しにボーっと眺めているとお礼をいってきた
「些事だ。気を病まずとも、良い。」
相変わらずこの仮面は仰々しいな…
仮面を取る事も考えはしたが、出会ったばかりで信用していないしブロウドさんが魔族っぽいと言っていたので取り敢えず外す事は止めておいた
「いえでも…まさか【魔王】様に助けて頂けるなんて…今この国に【魔王】様がいらっしゃらないので夢にも思っておりませんでした!」
ん?【魔王】がいない?
先程の獣人男性の口ぶりからすると【魔王】は国を治めるものだと思っていたけど…
「何故、【魔王】は、存在していない?」
僕がそう尋ねると驚いた表情を浮かべる
「【魔王】様はこの国をご存知ないのですか?」
「こらル、ルーシャ!【魔王】様に失礼ですよ!!娘の言動をお許しください!!」
そう尋ねると獣人の母親だろうか?慌てた表情で娘を諫めて許しを請うてくる
「些事だ…我は国に、属しておらん。世の事情を把握する、必要がある。」
そう告げるとルーシャと呼ばれた娘は少し嬉しそうにでも少し悲しそうに説明してくれる
「はい、ここは【サンドラ】という国でした。【魔王】様が獣人だった事もあり私たち獣人が集まって暮らしていた事もあり【獣王国サンドラ】と呼ばれていました。」
「いた、と?」
「はい…先日に【魔王】様が殺されてしまいました。しかも!暗殺という汚いやり口で!!それからです、この国は周辺の別の【魔王】から狙われており、荒れ果てた国となってしまいました。人族が襲い掛かって来るのを満足に対応も出来ず、周辺【魔王】からの脅迫に震えており生活もままならない状況です…」
「…他の【魔王】の、庇護下に、承服しかねる、と?」
「他国の【魔王】庇護下に入ると、どうしても差別、虐待、隷属となってしまいます…何より私たち獣人は
正々堂々とした強さに対して重きを置いております。もし暗殺してきた【魔王】の庇護下に間違って入ってしまうと…その様に考えてしまうのです。」
「……」
正々堂々とした強さを求める獣人からすると、実力で敗れた訳でもないのに属国になる事が納得できない
ましてや暗殺したかもしれない国の【魔王】の属国になる可能性があるのは納得できないという事か…
何というか、難しい問題だな
「クロノ様は…その…失礼なのですが、獣人ではないのですか?」
「…是。我は獣人で無い。」
「そうなんですか…」
そう答えるとルーシャはがっかりと肩を落とした
「ク、クロノ様は【魔王】様なのに、どうして国を興さないんですか?!」
「ルーシャ!!!!」
母親が真っ青な顔で娘の名前を叫ぶのを手で制する
「其は、【魔王】が、国を統治せん事は、不可解と?」
そう告げると真っ直ぐと目を見て答えてくる
「はい!【魔王】様が国を統治しないという話は聞いた事がありません!」
そうなのか
でもそうなると新たな疑問がわいてくる
「有史以来、同国で【魔王】が誕生した場合は、如何様に動く?」
「えっと…統治された国に新たな【魔王】が判明した場合ですよね?その場合は、今いる【魔王】と死闘するか、国を離れて新たな国の設立を宣言するかのどちらかになります。ただ、そんな事は殆ど無いんですが…」
そりゃそうか、数が多い人族の中でも【勇者】の称号を持つ者は十数人しかいない
それを考えると数の上で人族よりも少ない魔族がブッキングする事自体、可能性が非常に薄いんだ
「だから…その…」
「クロノ様、じきに村に到着いたします!!お待たせしてしまい申し訳ございません!!」
ルーシャが何か告げる事にかぶせる様に馬を走らせる獣人男性からの声が聞こえた
いつもご愛読有難う御座います!!!
Ⅳ章スタートしました
今回は今までより少し長くなるかもしれません(予定です)
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