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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
ⅩⅦ章【セカイノオワリノタイドウ】
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ゴーガンの思考と実行


「おっちゃん、本当に私とやるのぉ?」


「応よ、まだまだ小娘(ジャリ)に負ける程は耄碌してねぇからな。」


そう嘯きながらも内心はダラダラと脂汗を搔いちまう

目の前の小娘は【勇者】・・・それもそこらの【勇者】を名乗ったガキじゃねぇ

正真正銘の化け物の類である実力を持つ【勇者】だ


(勝てる・・・とは思わねぇが・・・敗ける訳にもいかねぇんだよなぁ・・・)


今回、俺の最優先で行うべき目的は嬢ちゃん(アカノ)に虐殺を行わせない事だ

幸い、嬢ちゃんは【責怨】の呪いから脱却しつつある

表銘である【赤炎】、裏銘である【責怨】を併せて今の火力を叩き出せる様にしているが・・・

裏銘は崩れちまえば以前の様な火力は出ねぇが、そこは手を打っている

兎にも角にも嬢ちゃんに虐殺させない事が最優先事項となる


(その次は・・・俺と嬢ちゃんが無事に帰還する事だな・・・)


残念ながら目の前の小娘を見る限り、それは容易ではない

だがまぁ、不可能ではない以上はやらなきゃ始まらねぇ


「じゃあ・・・おっちゃん、行くよーーーー!!!」


そう言ったと同時に神獣が2匹顕現される

1匹は純白の獣でもう1匹は漆黒の獣だ

だが包括している魔力量が魔物とは比較にならない事が嫌でも理解できる


「おっちゃん、降参する?」


まぁ確かに【勇者】と神獣2匹に対し、引退した冒険家のおっさんでは分が悪いわな

けれどまぁ・・・


「舐めるなよ小娘・・・こっからどうにか出来るからおっさんなんだよ。」


嬢ちゃんが頑張っている時に、俺が1人だけ尻尾巻く訳にはいかねぇわな

そう思いながら腰袋に携えた【宝珠】から武器を引き抜く


「えぇぇぇーーー?!おっちゃん武器持ってたの?!」


「応よ、俺の冒険者生活で唯一のお宝から取り出したんだ。」


【宝珠】とは言ってもそこまで希少なもんじゃねぇ

単純に【宝珠】に物を収納できるってだけのもんだ

容量も武器で言うなら剣で40~50程度しか収納出来ねぇが・・・俺からすれば冒険者生活の結晶だ


「「グルルルルル・・・・・」」


しかも俺が取り出した武器をみて神獣どもも警戒心を高めやがった

どうやら神獣にも『アンチビースト』効果のある剣は有効らしい

表銘【獣消】、裏銘【重傷】は伊達じゃねぇって事だな

そうこうしている内に神獣の方も痺れを切らしたのか、白い方が襲い掛かって来た


「うおっっと!!!!」


獣特有の素早い動きで襲い掛かっては来るが、それを回避する事に成功し、剣を振り回すと大仰に回避してくる

俺の体勢が崩れたと感じたのか、追撃という形で黒い方が襲い掛かってきた

こっちは素早さに特化した獣らしく、先程の白い方よりもかなり素早い


「・・・ちっ!!!」


右腕に軽傷ながらも切り傷を負いながらも剣で反撃すると、白い方の脚に傷をつける事に成功した

だが・・・俺の自慢の一品でも軽傷を負わせる事しか出来ない


「【獣消】の銘が泣くなぁ・・・おまけに・・・」


「ピピ大丈夫?!!」


そう言って神獣を心配する小娘を見て憂鬱な気分になっちまう


「神獣を心配する【勇者】様ってか・・・俺の息子もそんな奴が周りに居れば・・・違ったのかねぇ・・・。」


まぁ何をどうボヤいたって事象は変わらねぇ

俺の両手は世界への復讐と嬢ちゃんへの負い目で塞がっちまってる


「おい小娘、まだヤルってんなら容赦はしねぇぞ。このまま眺めておくってんなら・・・こっちからは手は出さねぇ。」


精一杯の慈悲半分、続行してくれるなよという願い半分でそう話しかける

すると小娘はキョトンとした表情で俺を見つめて来る


「おじちゃんは世界を壊す人じゃないの?」


「あぁ、そりゃそうだ・・・だがまぁ今は・・・気分じゃねぇんだ。」


俺は善人ではない

この世界を崩壊させる事を思考し加担し実行している時点で極悪人だ


でもまぁ・・・出来るならば善人は殺したくないっていう俺の我儘が出てきちまった

それが不甲斐なくも有り・・・ちっとばかし嬉しくも感じた

いつも有難う御座います!!

「面白い&期待している」という方は★&ブックマークを是非ともお願い致します!!

ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!

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