アカノと来襲の襲来
「まぁ・・・そんな運命ってやつに納得が出来ず、こんな糞ったれな事をやっている俺が言えたもんでもねぇがな。」
そう言いながらゴーガンはメンテナンスを終えたのか、剣身をマジマジと確認しながら自虐気味に呟く
その様子を見て・・・自分が今から立つ岐路をどちらに進むのかを選択せざるを得ない状況を近づいてきたことを実感した
「さてと・・・嬢ちゃん、悪いが時間切れだ。あの【聖女】さんも痺れを切らしているだろうしな。」
「・・・はい。」
どうする?
どうすれば良い?
クロノを選んで大勢の人族を焼き殺すのか・・・
クロノを否定し【狂笑道化団】を抜けてるのか・・・
私の足取りは重く・・・未だに結論が出せずにいた
◇
◇
「【狂信】悪かったなぁ、待たせたろ?」
ゴーガンはそう言って【狂信】に声をかける
だが彼女は何も感じていないかの様に微笑みの表情を浮かべるだけだった
「いいえ・・・今から行うことは大切なことですから・・・少し位お待ちしても万全であるに越したことはございません。」
「あぁ、そいつは任せとけ。・・・所々不純物が混ざっていたからな、有るべき剣に戻したつもりだ。」
「それは結構です・・・さぁ、それでは【狂炎】様、その剣でもって、私たちの目的を達成してくださいませ。」
そう言って眼前の王城へ誘導される
この城の中には・・・様々な人々が溢れかえり、生活している
そんな人が戦争に振り回されても・・・懸命に生きている人を焼き殺すことが・・・それが是ではあるのだろうか?
(だが・・・クロノが・・・)
答えなんて見つかるわけもない
けれどそれでも答えを探してしまう自分の馬鹿さ加減に嫌気が差す
「さぁ・・・【狂炎】様。」
【狂信】の言葉を皮切りに、剣に炎を纏わせ、エンチャントを付与する
・・・確かにゴーガンのいう通り、不純物でもあったのだろうか?
炎の伝達もエンチャント幅も上がっているのが実感できた
(・・・・・・。)
・・・目を閉じ
・・・大きく息を吸い
・・・大きく息を吐く
身体は半身の姿勢を取り、兼は肩幅よりやや高くに構える
目標となる王城の1番高い箇所に狙いを定めて、魔力を練り上げる
「・・・嬢ちゃん」
「流石は【狂炎】様・・・ここまでの炎を纏わせる人族等・・・この世には存在しないでしょう。」
魔力が練り上がれば、あとは一気に発動させるだけだ
そして正に発動させようとしたその時・・・
「ゴオォォォォォォぉーーーーーーーーーーー!!!!!」
夜空に鳴り響く咆哮と共に、空から炎が私たちにめがけて降り注いできた
「なっ?!!」
「おいおいっ!!」
寸での所で炎を回避し、『飛炎斬』を発動して攻撃を仕掛けるが、空に居たソイツに私のスキルも回避された
「やれやれ・・・本当に間一髪でしたね。」
「クロノンに言われて来て良かったかもだねぇ~。」
龍から飛び降り、そう言いながら王城を守る様に立ち塞がる2人を見つめる
「・・・ロザンワ・・・カラミトル」
「アカノさん!!」「アカノン?!!」
目の前に現れた女性2人は私の仲間であり、私の敵とも言える【勇者】だった
【狂信】も【狂戒】も目の前の人族2人が只者ではないことに気づいたのだろう・・・
私が何を言うでもなく戦闘態勢を取り警戒していた
「・・・【狂炎】、こいつ等はナニモンだ?」
「人族の様ですが・・・仮面をしていない事が悔やまれますね。」
「・・・彼女たちは【勇者】よ。それも・・・【勇者】の中でも最強の部類に入る、ね。」
何をどうしたのかは理解できない
此処になぜ来たのかも理解できるはずもない
だがそれでも・・・彼女たちが以前より明らかに強くなり、また私の前に対峙してきたことは明らかだった・・・
いつも有難うございます!!
「面白い&期待している!!」という方はブックマーク&★を何卒よろしくお願いいたします。
ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!




