アカノと狂信との共進
ゴーガンに私が叫んだ2日後深夜・・・私たちは【インスラント聖国】の王城敷地の片隅に身を隠していた
最早人族領内は【魔神連合】と【狂笑道化団】による宣戦布告により、警備体制等もガタガタとなっている
治安も明らかに悪くなっており、この国は半年前に見ているが・・・雰囲気というか空気感が悪くなっている様に感じた
「・・・お待たせしました。」
息を殺して隠れている私たちをどうやって見つけたのか不明だが、そう言って闇夜からソッと【聖女】が現れて来る
「【狂炎】様、【狂戒】様・・・この様な僻地に足を運んで頂き申し訳御座いません。」
「いえ・・・。」
「・・・・・・。」
私たちは【聖女】・・・いや【狂信】と呼ぶべきだろうか?
彼女の丁寧ながらも、リラックスした雰囲気に動揺を隠せないでいた
にも拘らず、彼女は私たちが何に動揺しているのかが理解出来ないかの表情を浮かべている
(【狂信】は一体何をさせようとするの・・・?)
【狂笑道化団】として人族領内で動くのだ
間違いなく何かを起こす事であるのは間違いない
そんな私の懸念を吹き飛ばすかの様な彼女はあどけない笑顔を浮かべながら口を開く
「では余り時間は御座いません。本日【狂炎】様にお立ち寄り頂きました理由なのですが・・・」
そう言って聖国の方へ手を翳す
「燃やしてくださいませ。」
「・・・は?」
笑顔を浮かべた表情を崩す事無く、端的にそう告げてくる
私が疑問形で回答してしまうのも致し方ないだろう
「・・・あら?違いますわ、恐らく【狂炎】様は勘違いをされていらっしゃいます。」
私が間抜けな回答をしたからなのか、【狂信】は突如慌てふためく
確かに彼女の言う通り、私は勘違いしているかもしれない
「この様な簡単な作業をお願いするだけにお呼び建てした訳では御座いません。この国を塵芥も残さず燃やし尽くして頂きたいのです。流石に塵芥ともなりますと【狂炎】様ほどの方でないと難しいと思い、お呼び建てしたのです。」
「・・・・・・。」
確かに私は勘違いしていた
だが違う方向性での勘違いであり、まさか一国を塵芥にさせる事を求めている等は想像も出来ない
けれども横に居るゴーガンは私と見解が違っていたらしく・・・彼女の言葉に目を閉じ何も言おうとしない
恐らく彼はある程度予想できていたのだろうか・・・?と思うと自分の考えが甘かったと自覚せざるを得ない
そんな事を考えている間にも【狂信】は私に今回の作戦を話し続ける
「今回の作戦により、近隣諸国を含めてた4ヵ国分の人族を一斉に根絶やしする事が出来ます。本来であればもっと詰め込みたかったのですが既に居住スペースの許容量が超えておりまして・・・情けない事です。そして肝心な作戦なのですが、【狂炎】様のスキルで街中に炎を撃ち込んで頂きたいのです。私の方で爆薬等の引火性の高い物は既に配置済みですので効果としては覿面かと。」
「・・・だがそのスキルで全員が死ぬって事はあるめぇ。」
ゴー・・・【狂戒】の指摘に【狂信】は頷く
「【狂戒】様の仰る通り、それだけで全員が死ぬ事は有り得ないでしょう。ですので私の方でこの街全域に結界を施し、誰も出て行く事が出来ない様にしておりますので、【狂炎】様はスキル発動後、街の中に入って頂き有象無象を燃やし尽くして頂きたい・・・そう言う手筈となります。」
「・・・はんっ!便利な結果だな?!」
【狂戒】が吐き捨てるかの様にそう言い放つも、【狂信】は少しも表情を崩さない
それどころか、何処か誇らしげに彼の言葉に返答する
「特段難しくは御座いません。今でも使用されている結界を反転させただけですので・・・。【超級魔法】を数発受けた程度ではビクともしない事をお約束致しますわ。」
その言葉を聞き、この【聖女】も文字通り何処か狂っていると感じてしまった
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