アカノの本音と怨念
「なぁ、嬢ちゃん。・・・お前さんはコレで良いのか?」
クロノから指令を受け、【狂戒】・・・ゴーガンと2人でインスラント聖国を目指していた
ただ・・・以前の様な会話など殆ど無く、基本的には無言で向かっていた所にも拘らずそう尋ねて来た
「・・・コレで良い、とは?」
「分かってんだろ?お前の弟は正気じゃねぇ・・・まぁ狂気でもねぇが・・・そんな弟の指示の下で今から向かう先でナニカをさせられる事くらいは気付いてんだろ?」
「・・・・・・。」
「初めて逢ったお前さんは、融通は効かねぇが一本気の通った意志ってもんを感じたが・・・今のお前さんはそうじゃねぇだろ?迷いに迷い、流れに流されてって感じに見えるぜ?」
「・・・・・・」
「お前さん自身も薄々は気付いてるんだろ?お前さんの弟は姉としてお前さんを見ているんじゃねぇ・・・お前さんをただのど「じゃあどうすれば良いっ?!!!」」
ゴーガンの容赦無い正論は私の胸に刃を突き立て、痛みで思わずそう叫んでしまう
呆気にとられた表情を浮かべるゴーガンに対して、一度外れた自制の枷は役割を果たしてくれない
気付けば感情のまま叫んでいた
「私だって気付いているっ!!あの優しかったクロノでは無い事位は当に気づいているっ!!だが私の願いはクロノと離れない事だっ!!クロノの傍に付き添い、クロノの願いを叶え、クロノの役に立つっ!!それが・・・それがあの時にクロノから離れた私の贖罪だっ!!クロノが私を道具だと思っている事にだって気付いているっ!!でも・・・でも仕方ないじゃないか?!!クロノは・・・クロノは仲間だと思っていた人族に裏切られ、魔族に連れ去られ・・・私にも言えない様な痛苦を受け続けたんだ!!それこそ人格が変わっても仕方ない位に変わったに違いないんだっ!!そんなクロノ・・・クロノに私が出来る出来る事なんて・・・傍で守り、傷を癒すしか・・・ないじゃ・・・ないか・・・。」
「・・・・・・」
ゴーガンはそんな私の叫びに対し、何も言わずに聞いていた
そんな彼に対し、私の感情は彼自身をも責め立てる
「それに・・・私の家族は最早クロノ1人になってしまったんだっ!!クロノと父さんが居ない世界なんて本当に価値が無くなってしまうっ!!父さんを殺したお前に・・・クロノの願いとは言え、父さんを殺したお前に・・・そんな事を言われる筋合いなど無いっっ!!!」
そう言い切った後、自分の気持ちがしぼんで冷静になっていく
「・・・済まない。」
恐らくゴーガンだって殺したくて殺した訳では無い筈だ・・・
父さんは敵として私の前に現れ、敵として私に襲い掛かっていた
彼からすれば味方が・・・それも自分が造った剣を託した相手を助けようとした行為だった筈だ
(・・・結局の所)
私が強ければ問題無かったのだ
私が父さんを圧倒出来る程の強さを持っていれば・・・殺さずに父さんを制する事が出来れば・・・
であれば父さんは今も尚死んでいなかった筈だ
私は結局、自分の弱さの責任を、目の前の男に擦り付けているにすぎないのだ
「いやぁ・・・概ね事実だ。気にすんな。」
私からの責め立てる言葉を受けたにも拘らず、ゴーガンは不愉快な表情を浮かべていない
それどころか、何処かつきものが落ちたかの様な表情を浮かべている
「・・・ゴーガン?」
思わず名を呼ぶが、その言葉にまた可笑しそうに笑う
そして一通り笑った後、ゴーガンは私にサバサバした様な口調で語りかけて来る
「まぁ、嬢ちゃんが言っている事は概ね間違っちゃいねぇ・・・。それにな、嬢ちゃんが弟の事しか考えられない様なモンになっちゃいねぇって事がな・・・嬉しいのさ。」
私はゴーガンの言う事が理解出来ず、思わず首を傾げてしまう
だが・・・そんな私の様子を見て、彼はまた可笑しそうに笑うのだった
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