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アカノクロノ  作者: ばてぃ〜
ⅩⅥ章【タトエセカイガオワッテモ】
462/640

【間章】~~追憶Ⅷ~~


「サイクス・・・。」


「まぁ私のとって名等はどうでも良いのですよぉ~。それよりも・・・私にとって実の無い話にも飽きてきましたからねぇ~・・・そろそろ死んで下さい。」


そう言った瞬間、相手の魔力がさらに膨れ上がる

すると・・・奴の足元から少しずつ・・・ほんの少しずつではあるが床や壁、牢が霧散し消滅していく


「コレをやると少し疲れるのですがねぇ・・・証拠も残さず全てを消し去るには丁度良いでしょう?」


サイクスと黒髪黒目のガキが横たわる場所以外がほんの少しずつ消えていく


「・・・カノンッ!!」


「分かっている、退却だっ!!!」


アレはヤバい・・・

目撃したからではなく、本能的に理解できる程の圧倒的な恐怖が脳裏に焼き付けられる


「おやおやおやぁ~・・・その決断力は潔良いですねぇ。精々足掻いてくださいよぉ?」


そんな余裕ある言葉を聞き流しながら真っ直ぐと地下道に繋がる梯子を目指す

幸いにもアイツの能力速度は早くない為、一気に駆け上がれば逃亡する事は可能だ

リングラン達も真っ直ぐと元来た場所へ走っていく


「良しっ、先ずはリンから登れっ!!殿は俺が受け付けるっ!!」


そう言うと全員が梯子に到着すると同時にリングランが梯子を駆け上る

こういう時は反対意見や相手を慮る振りをした言い争い程、時間が無駄な事は無い

全員がそれを知っているからこその行動力だ


先ずはリングランが駆け上る

そしてコシドーが梯子に手を掛けたその瞬間、何処からか声が聞えた気がする


「?!!おいっ、何か声が聞えなかったか?!」


「気の所為じゃないっすか?!牢に居る奴等は一言も発せず諦観してますよ!!」


シャンスも言う通り、あのサイクスとかいう奴等が現れた瞬間から牢に居た人族は一言も発せずに諦観の目でこちらを眺めていた

多分、アイツ等も黒髪黒目のガキの強さやサイクスの力を知っているからこそのあの視線だったのだろう・・・

それとも本当に自分達が病に侵されていると考えていたのかどちらでも良い

だが・・・


「確かに子供の声が聞こえたんだっ!!助けてってな!!」


シャンスの言葉を否定して辺りを見渡す

大半が諦観の視線でこちらを見つめる大人の人族の中で・・・小さな子供が虚ろな瞳で俺を見つめながら口を微かに動かしていた


「見つけたっ、あのガキだっ!!」


「ちょ、ちょっと兄貴っ!!あの子・・・黒髪黒目ですぜ?!!」


シャンスの言う通り、白いダボダボの衣服に身を包んだのは・・・黒髪黒目のガキだった

サイクスの言った事が真実であれば・・・このガキも人族と魔族の間に産まれた子供だという事だ

俺はそのガキがいる牢へ近づく


「あ、兄貴っ!!罠かもしれません!!早く戻って来て下さいよっ!!」


シャンスがそう言う事も理解は出来る

理解は出来るが・・・可能な限りガキを見捨てる様な真似はしたくない

それは多分、俺に愛娘が居るから湧き上がる親御心だろう・・・


「・・・よぉガキ。・・・此処から・・・出たいか?」


俺は膝を付き、視線を合わせながら真剣に尋ねる

すると子供は暫し茫然とした表情を浮かべた後、コクンと頷く


「お前の黒髪黒目は・・・この世界では生きにくい。楽しい事よりも辛い事の方が多いだろうよ。・・・それでも・・・出たいか?」


再度同じ様な質問を投げかけると、今度は殆ど逡巡する事無く頷いて来る

ガキの意思を確認した俺は一旦牢から下がらせ、【碧律千刃】を発動して複数の剣で牢の柵を斬りつける


「あにき早くっっ!!!!!」


そう言われ、サイクスの居た場所へ視線を向けると少しずつこちらに黒いナニカが近づいて来るのが見えた

目測だが・・・アレが此処まで到着するのは5分も掛からないだろう


「先に上がれっ!!!俺も直ぐに行くっ!!!」


シャンスにそう言いながらも無駄に頑丈な柵を複数の剣で斬りつける


「っ?!!!必ず戻って来て下さいよっ!!!」


「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーー!!!!」


返事と気合を同時に込めた様な咆哮を叫びながら、俺は柵を無心で斬り続けた


いつも有難う御座います!!

本章は本話で終了です!!

次章はアカノ側の視点に立っていきますので宜しくお願い致します!!

「面白い&期待している」という方は★&ブックマークを是非ともお願い致します!!

ご感想やレビューも心よりお待ちしております!!

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