【間章】ソテルアスと最悪な大罪
眼前の聳える忌々しい古城・・・
その城門を乱暴に蹴りながら城内に入っていく
どうせあの餓鬼は王座に悠々と居座っているのだろう・・・そう思いながら先日に会談した場所へ進んで行く
「これはこれは・・・龍族の【真祖】ソテルアス様、お早いお帰りですね。」
そう言って我を前に立ち上がる様子もないクロノ擬きが涼しい顔で気安く声を掛けてくる
満身創痍に近い我を見てよくぞそこまで涼しい表情を浮かべる事が出来るものだ・・・
呆れ果てた様な感情が胸にこみあげて来る
「・・・・・・【魔神】は強かったぞ。」
「でしょうね。僕が敬愛するあの御方が倒せなかったのですから容易では無いと思っていましたよ。」
至極当然とでも言いたげな表情に苛立ちを感じる
その言い方だと・・・我を捨て駒扱いしたかの様ではないか
「・・・で?【魔神】の身柄を拘束する事は出来なかったのでしょうが、流石に殺す事は出来たのでしょう?」
「・・・・・・」
「・・・まさか・・・敗けて敗走してきた訳では無いですよね?貴方は【真祖】でしょう?龍族の神とも言えるべき存在でしょう?」
「・・・・・・」
「これは驚いた・・・貴方に勝った【魔神】にでは無く、万全の状態にも拘らず敗北した貴方に、ですが。」
「・・・・・・さい。」
「はい?」
いい加減舐められ、我慢の限界が来た
自分が敵わないからと口八丁で我を動かした様な擬きに何故此処まで貶められなければならない
そう考えると沸々と怒りが湧いて来る
「五月蠅いっ!!貴様の様な弱者が我をそこまでコケにした事の報いを受けさせてやろう!!!」
そう言うと同時に【憤怒タギル血】を発動し、殴りつけるべく一気に距離を詰め、殴り掛かった
「?!!」
だが・・・あと僅かという所で、身体が突然硬直してしまう
「いやいやいやぁ~・・・流石は黒蜥蜴の親玉ですねぇ~・・・」
そう言うと同時にあの時に黒龍を甚振っていた男が陰から現れる
それと同時に自分の身体を見ると・・・無数の触手が我を捕縛している
「貴様っ・・・これは・・・」
一瞬、【魔神】の【大罪スキル】と被ったが・・・どうやら喰う様な事は無く、ただ捕縛するだけの様だ
だが・・・満身創痍の身である故か、はたまた捕縛するが強いのか・・・振り解く事が出来ない
「これはサイクスのスキルだよ・・・。あぁ安心しても良い喰われるなんて事は無いからね。」
そう言って至近距離で擬きが微笑む
その微笑みは何故か・・・我に恐怖の感情を抱かせる
「目的の1つは達成出来なかったけれど・・・もう1つは達成出来そうだ。」
「・・・何をっ」
そう言った我の口を人差し指で口を塞ぐ
そして有無を言わさない声色で言葉を続ける
「僕が貴方と同盟を組んだ理由は2つ・・・1つは貴方に【魔神】を殺して貰う事。これは貴方が思いの外弱かった事で失敗したけれど。」
「・・・・・・」
「そしてもう1つは・・・【魔神】との戦いで弱った貴方を僕が殺し・・・貴方を手に入れる事だったんだ。」
「・・・何を言っている?」
「ふふふ・・・だよね?君の様に何も考えない様な輩には分かる訳ないよね?」
そう言って2人で対峙した時の女の姿に変化する
「不思議じゃなかったかな?何故私がクロノそっくりに変化するのか?そして・・・姿を変化させると強さも変化するのか?」
「・・・・・・」
コイツが何を言っているのかが理解出来ない
思考の道筋になるべき紐すらお見つける事が出来ない
すると今度は戦士の様な姿をした人族の男に変化する
「これは人族の【勇者】の姿だ。どうだ?先程の【拳剛】の時よりもまた強くなっただろう?」
確かに先程の女よりも強さは増している
・・・・・・?!!
「気づいたか?そうだ、俺様は殺した相手の全てを得る事が出来る・・・【嫉妬ノ心ノ臓】というスキルを持っている。」
そう言って徐に魔力を込め、我に剣を振り上げる
奴が言ったその言葉と我が殺されると言う事実に・・・我は最悪の未来を思い描いてしまった・・・
そして・・・それは間違っていないだろうとも理解してしまった
「ブロウド・・・ファスミーヤ・・・無念だ。・・・小僧・・・悪かったな。」
そう呟いたと同時にザシュッという音が聞こえて・・・意識を手放した
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