【間章】ザンガスとバルザスの噂話
おっさん2人を主軸に話を書いてみました
アカノが旅立った2日後、ギルドマスター執務室で3人の男女がテーブルで向かいあって話をしていた
「んで、アカノはんにはちゃんと伝えたんやな?」
1人は評議会メンバーの1人で小太りの男、ザンガス
「あぁ、ちゃんと伝えておいた。ただ当然ながら納得している様なツラではなかったがな。」
ザンガスの発言に腕を組みながら頷いている筋肉質の男、バルザス
「それはそうでしょ…あなたたちの押し付けで評議会に怒鳴り込みに来ないか冷や冷やしたわよ。」
そう言いながらも不安げな表情を表わす評議会メンバーの1人で妖艶な色気を醸し出す女、ミツネ
国とギルドの主要人物が非公式ながらも一堂に会する事は通常ではあり得ない事である
あり得ないからこそ実際にそうなった場合、それは【サンドール商業国】にとって大事件になり得る議題が上がる事が多い
にも関わらず、3人はどこかリラックスした雰囲気で話し合っている様は知る人が見れば異様でしかない
「そうは言うてもな、噂の【剣聖】がこの国に入っとるんやからどないか縁を持ちたい思うのが普通やろ?」
「それはそうかもしれねぇが伝える方の身にも…って噂ってなんだ?」
「おや?他国にも繋がっているギルドのマスターが噂をご存知ないのかい?」
ミツネは面白そうににやけながら告げる
「飽くまでも噂やけどな、【勇者】を一瞬で倒したとか「あ、それ本当だぜ。」」
ザンガスの言葉を遮りバルザスは返答する
「!!!本当なのかい?!【勇者】を倒したのは知っていたけどねぇ。」
ミツネの言葉にバルザスは深く頷く
「場所がギルド内だったからな、間違いない。一瞬で片腕を斬り落とした後にその腕を細切れにしたそうだ。」
そう告げると2人は驚愕の表情でこちらを見る
「そ、そしたら国からの高ランク指名依頼を100%達成している上に常に期限よりも早い段階で完了させているんは…?」
「それも本当だ。大体だが期限の半分程で終わらせらしいな…ついでに言うと随行する他パーティーや国の兵士も殆ど負傷せずに帰還してくるらしいぞ。」
「……」
2人は若干青ざめた表情をしている
「こ、これはガセやろ?!竜種をソロで倒して従竜契約しとるって聞いたで!!」
バルザスはそれを聞いて思案する
「ん~…竜種をソロで倒したのは本当だな。確か炎竜だと思うが…ただ従竜契約は知らんな…だがあいつは剣に尋常ではない炎を付加できるらしいからなぁ~。一概にガセとは言えん。」
「ザ、ザンガス…あんた…無理やり【名誉騎士】の称号を押し付けたけど、本当に大丈夫なのかい?」
ミツネがひきつった顔でザンガスを見る
「だ、大丈夫や!!アカノはんも旅立った訳やし、も、問題あらへん!!」
「だけど、【剣聖】がどこかのタイミングで支部とかで怒って暴れたら…」
それを聞いてザンガスは青ざめながら席を立とうとする
「あ、あかん!!支部の方には通達いってへんかもしれん!!下手な対応したらこの国滅ぶで!!急いで指示させな!!」
「まぁまぁ兄貴、久しぶりに兄弟で話しているんだ。ゆっくりしていけよ~。」
バルザスはニヤニヤしながらザンガスを制止する
心では全くそう思っておらず、面白がっているのが透けて見えた
「アホ!!この国が滅んだらお前もギルマス解任やぞ!!どけ!!」
そう言いながら飛び出そうとするも小太りのザンガスでは鍛えた肉体を持つバルザスを振り払える訳もない
「まぁそうなったらそうなったで面白いじゃねぇか!勿論ギルドとして元【サンドール商業国】の評議会に対しては何らかの形で動く事にはなるだろうけどな!!」
「あーーこのアホは!!ミツネ!!はよ支部へ通達して来い!!」
その言葉を聞くや否やミツネは取り急ぎ執務室を後にした
それを見たバルザスはザンガスを制止するのを止めソファーに座りながら飲み物を啜り、ザンガスも腰を下ろした
「…ところで魔族領だが今はどんな状態なんだ?」
先程にふざけた表情をしていたバルザスは真面目な表情に変わりながら聞く
「まぁ儂らも魔族領内で商売しとる訳やないから確実な事は言えんけども…それぞれの国がそろそろ限界みたいやな。正直、いつ何処で戦争が起きても不思議やないそうやわ。」
「やはり【魔王】が1人死んだ情報は本当だったか…」
「状況から見るに確実やろな。ここからは国盗り合戦なるで…人族領にまで被害が及ばん事を願うわ。」
そう聞いてバルザスはふとザンガスに声を掛ける
「だからこそアカノに【名誉騎士】を与えたのか?」
それを聞くとザンガスは頷く
「せや…アカノはんには悪いが人族でありながら単身で2人魔族を倒している【剣聖】や。魔族に対するけん制にもなるし人族の希望にもなり得る。本人は弟探しの旅やろうけど、旅してもらう事で様々な人族がその強さに希望を見出すんや…そん時にわしらの【名誉騎士】になっとって貰っとたらこの国を信頼を勝ち取り商業は滞りなく回るやろしな。」
飲み物を啜りながら笑って言う
そんなザンガスに呆れてたバルザスは「よくやるぜ…」と呟く
ザンガスは不意に思い出したかの様にバルザスに尋ねる
「アカノはんと言えば、弟探しの旅らしいけど溺愛しとるっていう噂もあったな。」
それを聞いたバルザスは投げやりに答える
「その噂は間違っている。ヤバい位に溺愛しているというのが正解だ。」と…
おっさん2人でグダグダ話しているのは面白いですね
思いのほかPCが進みました!!
需要があるかは未定ですが…
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